Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 超音波計測システム

(S550)

光学的に透明な超音波頸動脈ファントムの開発

Development of ultrasonic phantom for carotid artery using optically transparent material

浅見 玲衣1, 田中 智彦1, 清水 一力1, 関 佳徳2, 西山 友秀2, 岡田 孝2

Rei ASAMI1, Tomohiko TANAKA1, Motochika SHIMIZU1, Yoshinori SEKI2, Tomohide NISHIYAMA2, Takashi OKADA2

1株式会社日立製作所研究開発グループヘルスケアイノベーションセンタ, 2株式会社日立製作所ヘルスケア社

1Center for Technology Innovation - Healthcare, Research & Development Group, Hitachi Ltd., 2Healthcare Company, Hitachi Ltd.

キーワード :

【背景】
頸動脈内の血流情報は,心血管イベントやプラーク破たんのリスクなどと密接に関連していることから,その定量化が期待されている.しかし,血流速度に基づく定量値(例えば,Wall Shear Stressやプラーク周囲の圧損等)の計測では,一般的に速度の正解値(Ground Truth)を得ることが困難であることから,得られた定量値の確からしさが不明であることが多い.
【目的】
本研究の目的は,血流速度のGround Truthが取得できる頸動脈ファントムの実験系を開発することである.
【方法】
流体のGrand Truth取得には通常,確立された計測法であるレーザを用いた粒子画像追跡法(Optical Particle Image Velocimetry, OPIV)を用いる.そこで本研究ではOPIV計測と超音波計測が同時に行えるin vitro実験系を構築した.頸動脈模擬ファントムはヒト総頚動脈及び分岐部の3次元形状情報を元に,ウレタン樹脂を用いて生成した(図).光学的透明性の確保のため,疑似血液としてファントムと同等の光学的屈折率(1.47)を有するPEG(Poly Ethylene Glycol)400を用いた.さらにファントムを,音響窓および光学窓を有する直方体チャンバに入れ,チャンバ内をPEG400で満たした.以上により,音響的,光学的双方のアクセスを可能とした.ファントムの駆動系にはシリンジポンプとペリスタポンプを併用し,拍動流を生成した(心拍数60bpm).これらのシステムを用いて,ファントム内の拍動流に対し,超音波カラードプラ(CFM)計測およびPIV計測を実施し,本研究で開発したシステムの妥当性を検証した.
【結果と考察】
頸動脈ファントム内のCFM速度計測の結果,PIVとCFMの両者の良好な一致が確認された(相関係数R=0.8).また,血管壁付近での残留クラッタによる速度計測誤差の顕在化が定性的に知られているが,本実験系を用いることで壁面付近誤差を30%程度,と定量的に見積もることができた.以上,本研究により開発した実験系の,血流速度Ground Truthが取得できる頸動脈ファントムとしての妥当性が確認された.本実験系を用いたin vitroでのCFM計測の高精度化や血流情報に基づく新しい定量評価指標などの開発などが期待される.