Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 せん断波イメージング

(S541)

カラードプラせん断波映像法を用いた3次元でのせん断波伝搬の映像化

3D Shear Elastic Wave Imaging using CD-SWI

竹澤 祐輔, 香取 裕志, 砂口 尚輝, 山越 芳樹

Yusuke TAKEZAWA, Yushi KATORI, Naoki SUNAGUCHI, Yoshiki YAMAKOSHI

群馬大学大学院理工学府

Graduate School of Science and Technology, Gunma University

キーワード :

【目的】
近年,実時間でせん断波の伝搬の様子を観測できるカラードプラせん断波映像法(CD-SWI)が開発された[1].現在,2次元面のみで波面観測が行われているが,被写体内の硬さの違いにより伝搬方向が複雑に変化するため,2次元面のみの観測では被写体内の構造を詳細に把握できないケースが多くみられる.例えば,柔らかい物質の中に硬い小物体を含む被写体では,せん断波が小物体で回折することで周辺の波面にも影響を及ぼすため,どの構造が波面を変化させたのか理解するには3次元的な波面観測が必須となる.本研究では,3次元的な伝搬の把握や伝搬メカニズムの解明のために,CD-SWIを用いて位相マップの3次元化および視覚的に理解しやすい表示システムを開発する.また,ファントム実験により3次元的な伝搬の様子を可視化する.
【方法】
3次元像を得るためには3次元プローブを使用しても良いが,本手法ではより広い領域を計測するために,プローブに取り付けた地磁気センサによる角度情報取得と2次元プローブの手動操作による動画像取得が同時に行われる.動画像の時間的に連続した4枚を本グループが開発した位相抽出法(DFTV)に適用し1断面の位相マップを得る.それを繰り返し角度情報に照らし重ねることで,最終的に3次元像を得る.表示ソフトでは,3次元空間のある任意の2次元断面を観察できる.また,形態情報を得るために,同一面のBモード像を重ね合わせた.
【実験】
ファントムには,寒天粉末濃度0.9%のゲル内に同粉末濃度1.75%,直径約10mmの硬い寒天球が埋め込んである.これを加振周波数253.2Hzで加振し,±40度の範囲でプローブを傾けながら動画像を得た.
【結果】
伝搬方向を3次元で考慮した位相マップから求めた伝搬速度は図(a)中①に示す硬い部分では3.76m/sであり,②に示した周辺部では2.27m/sであった.また,図(b)に示すように硬い部分を含まない断面において伝搬方向に波面の乱れ(白円部)が確認された.これは硬い部分からの回折波と考えられるが3次元化によって視覚的に理解できる.
【結論】
本システムを使用することで,せん断波の3次元伝搬に関する知見が得られる.また,本法は伝搬速度計測の精度向上が期待できる.
1.Yamakoshi et al,Ultrasonic Imaging 37,327-340(2015).