Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 生体作用

(S537)

パルス超音波照射による溶血に造影剤が与える影響

Effect of contrast agents on hemolysis induced by pulse ultrasound exposure

谷 健太朗1, 居村 真人1, 小山 大介1, 渡辺 好章2

Kentaro TANI1, Masato IMURA1, Daisuke KOYAMA1, Yosiaki WATANABE2

1同志社大学理工学部, 2同志社大学生命医科学部

1Faculty of Science and Engineering, Doshisha University, 2Faculty of Life and Medical Sciences, Doshisha University

キーワード :

【目的】
本研究では超音波が血液に与える影響を検討している.本報告ではパルス超音波によって引き起こされる溶血について,超音波照射条件や超音波造影剤の付加による影響を,ウシ血液を用いたin vitro実験により検討した.
【方法】
直径10 mmの円筒血液容器に測定対象である1 mLのクエン酸加ウシ血液を入れ,底面に超音波振動子を接着し,内部を脱気水で満たした別の円筒容器内中心軸上に設置した.超音波照射条件を周波数1 MHz,最大音圧振幅値199 kPa,照射時間1分間一定とし,1パルスのサイクル数を50,100の2条件,それぞれのduty比を20-80%の範囲で変化させた.また比較のため,連続波照射も行った.同様の実験を,血液に超音波造影剤(Sonazoid®,体積濃度2%)を付加した場合についても行った.
溶血評価として,赤血球からヘモグロビン等の内容物が漏れ出した細胞膜である赤血球ゴーストを観測した[1].1分間の超音波照射後の血液を6200 rpmで5分間遠心分離し,沈殿物と浮遊液に分けた.浮遊液を10 mL採取し,光学顕微鏡で浮遊液中の赤血球ゴースト数をカウントした.なお超音波未照射の血液を遠心分離したものをControlとし,全ての実験は27°Cで行った.
【結果】
各サイクル数共にControlと比較して,duty比60%程度で赤血球ゴースト数が急激に増加した(図(a)).一方でduty比100%(すなわち連続波)の場合.赤血球ゴースト数は再び低下した.本結果より,超音波の非照射時間は溶血の重要な因子の一つであると推測される.溶血発生にduty比の閾値が存在することは,溶血の一因が超音波によって血中で発生するキャビテーションであることを示唆している.連続波の場合に比べ,パルス超音波では発生したキャビテーション気泡が消滅せず成長する場合があるため[2],溶血が増加したと考えられる.超音波造影剤を付加した場合(図(b)),造影剤が気泡核となりキャビテーション発生・成長が促進するため溶血が増加した.
【結論】
パルス超音波は,連続波照射よりも血液に及ぼす影響が大きい可能性が示唆された.また造影剤付加により溶血は増加した.
【参考文献】
[1]M. Nose,et al.,Chemical & pharmaceutical bulletin.37(12),3306-3310,1989.
[2]崔博坤,金子祥久,目黒太一:100kHzキャビテーション気泡の高速度カメラ観察,電子情報通信学会技術研究報告:信学技報,107(75),27-32,2007