Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 生体作用

(S536)

持続時間の長い超音波パルスの音圧と波数が培養心筋の拍動に与える影響の基礎的検討

Fundamental Study on Effect of Pressure and Duration of Long Ultrasound Pulse on Pulsating Cultured Cardiomyocyte

三輪 英, 工藤 信樹

Aya MIWA, Nobuki KUDO

北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻

Division of Bioengineering and Bioinformatics, Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【はじめに】
これまで我々は,Acoustic Radiation Force Impulse(ARFI)イメージングに用いられる持続時間の長い超音波パルス(以下ARFIパルス)の生体作用に関して検討するため,機械的な作用に敏感な培養心筋細胞を用いた実験手法を検討してきた.本研究では,ARFIパルスが拍動に作用を与える機序の解明を目的に,ARFIパルスのエネルギーを決定するパラメータである音圧と波数が拍動に与える閾値を調べた.
【方法】
まず,ARFIパルスが生じる音響放射力を天秤法(菊池他,信学技報US99-19,1999)により測定した.水槽の底面に超音波吸収用ゴム板を敷き,電子天秤(最大秤量60 g,分解能0.1 mg)の天板上に置いた.集束型振動子(直径50 mm,焦点距離70 mm,中心周波数1 MHz)を用いて,音圧を0.8,1.6,3.2,4.6,6.6,9.4,13.5 MPa(P-P)の7条件に,波数を10波から1,000波の範囲に設定したARFIパルスをPRF1 kHzで発生し,質量計測値の変化から音響放射力を測定した.
計測結果を基に1パルスの持つエネルギーが0.07,0.13,0.27,0.40 mJ/cm2の4条件になる音圧と波数の組み合わせを設定し,照射が培養心筋細胞の拍動に与える影響を調べた.サンプルは,ラット新生仔から単離した心筋細胞をカバーガラス上に播種して作成した.倒立型顕微鏡のステージ上に置いた水槽の底部に観察チャンバを設け,その上部にサンプルを取り付けて超音波を1回照射し,拍動の変化を観察した.
【結果および考察】
超音波の照射条件をTable 1に示す.表の行の項目は音圧条件を,列の項目はARFIパルスのエネルギー条件を表し,各欄内の数字は超音波の波数を表す.同じ行内の条件ではエネルギーが等しいが,右側ほど音圧が高く波数が少ない.同じ列内では,音圧が等しく下方ほどエネルギーが大きい.
8個の心筋サンプルに照射を行った結果をTable 2に示す.心筋細胞の拍動の一時的な停止や期外収縮が観察された条件を表中の網掛けで示す.発生閾値にはばらつきが見られたものの,サンプル1では4.6と6.6 MPaの間,サンプル3では3.2と4.6 MPaの間,それ以外のサンプル(7を除く)では9.4と13.5MPaの間に音圧条件の閾値が見られ,その閾値は超音波の総エネルギーには依存しなかった.この結果は,ARFIパルスの拍動に影響する危険性は時間の要因を含む総エネルギーではなく,音響放射力を決定する音圧の影響が大きいことを示唆するものと考えられる.