Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

奨励賞演題
奨励賞演題 腎・泌尿器 奨励賞演題 腎・泌尿器

(S530)

Shear wave Elastographyを用いた腎機能評価

Renal function evaluation using Shear wave Elastography

笹木 優賢1, 廣岡 芳樹2, 川嶋 啓揮3, 大野 栄三郎3, 林 大樹朗3, 桑原 崇通3, 松原 宏紀1, 竹下 享典4, 中村 正直3, 後藤 秀実3

Yutaka SASAKI1, Yoshiki HIROOKA2, Hiroki KAWASHIMA3, Eizaburo OHNO3, Daijuro HAYASHI3, Takamichi KUWAHARA3, Hiroki MATSUBARA1, Kyosuke TAKESHITA4, Masanao NAKAMURA3, Hidemi GOTO3

1名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門, 2名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部, 3名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学, 4名古屋大学医学部附属病院検査部

1Department of Medical Technique, Nagoya University Hospital, 2Department of Endoscopy, Nagoya University Hospital, 3Department of Gastroenterology and Hepatology, Nagoya University Graduate School of Medicine, 4Department of Clinical Laboratory, Nagoya University Hospital

キーワード :

【目的】
慢性腎臓病(CKD)では,糸球体硬化,尿細管萎縮と間質線維化が徐々に進行するが,腎機能別の腎硬度測定の報告は少ない.そこで我々は東芝社製Aplio 500 Platinumに新たに搭載されたShear wave Elastographyを用いて腎機能と腎硬度の関係について検討を行った.
【対象と方法】
対象は腹部超音波検査時に腎臓のShear wave(SW)測定を行った内,血清クレアチニン測定を行っている187例.腹部超音波検査時に続けて同意を得られた患者に対してSW測定を行った.測定体位は可能な限り腎臓が体表に近づく体位にて行った.側腹部走査にて腎臓が長軸になるように描出し,軽く息止めをしてもらい,プローブで腎を圧迫しないよう測定を行った.関心領域(ROI)は最浅部にくる腎皮質部分で可能な限り大きくなるように設定した.また,ROI内に嚢胞や石灰化病変が含まれないように設定を行った.SW値(SWV)は速度表示の値を使用し,5回測定の中央値を使用した.propagation表示にて等高線が概ね等間隔のものを測定成功とした.最大7回まで測定し,そのうち3回以上測定失敗した場合(成功率70%以下の場合),その患者の結果は不採用とした.SW測定成功率およびCKD診療ガイド2012における糸球体濾過量(GFR:腎機能)を用いたG分類とSWVの関係について検討を行った.
【結果と考察】
SW測定成功率は右腎臓で93.6%,左腎臓で71.6%であった.以上の結果より,左腎臓では測定成功率が低く,有効症例数が少ないため,以下の検討は右腎臓のSWVのみで行った.SWVは右腎臓でG1(eGFR≧90):2.30±0.20m/s(32例),G2(eGFR=60〜89):2.28±0.23m/s(78例),G3a(eGFR=45〜59):2.63±0.29m/s(31例),G3b(eGFR=30〜44):2.17±0.21(18例),G4(eGFR=15〜29):2.18±0.16m/s(8例),G5(eGFR<15):2.04±0.14m/s(8例)であった.多重比較検定にてG1-G3a(p<0.01),G2-G3a(p<0.01),G2-G5(p<0.05),G3a-G3b(p<0.01),G3a-G4(p<0.01),G3a-G5(p<0.01)でそれぞれ有意差を認めた.G分類全体ではSWVと相関性は認めなかったが,G2-G3a間で負の相関関係を,G3a-G3b間では正の相関関係を認めた.CKDステージG3aであるGFR60mL/min/1.73m2未満で死亡,CVDの発症リスクとなり,さらにCKDステージG3bであるGFR45mL/min/1.73m2未満ではCKDに関連するさまざまなリスク,すなわち全死亡,腎血管死亡,末期腎不全への進行および急性腎障害の罹患率が急激に増加する.そのため,G3a,特にG3bへの進行を診断することは重要であり,今回の検討でSWでのG3a,G3bへの進行は診断可能と考えられた.
【結論】
SWでCKDステージG3a,G3bへの進行は診断可能であると考えられ,SWVが上昇もしくは低下し始めた患者は早期の治療介入が必要であると考えられた.