Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

奨励賞演題
奨励賞演題 循環器 奨励賞演題 循環器

(S522)

経皮的心房中隔欠損閉鎖術前後における両心室間の相互作用について

Bi-ventricular Interaction in Patients with Atrial Septal Defect Following Transcatheter Closure

羽渓 優, 田中 秀和, 佐和 琢磨, 下浦 広之, 大岡 順一, 佐野 浩之, 望月 泰秀, 郡山 恵子, 松本 賢亮, 平田 健一

Yutaka HATANI, Hidekazu TANAKA, Takuma SAWA, Hiroyuki SHIMOURA, Junichi OOKA, Hiroyuki SANO, Yasuhide MOCHIZUKI, Keiko KORIYAMA, Kensuke MATSUMOTO, Ken-ichi HIRATA

神戸大学医学部付属病院循環器内科学講座

Division of Cardiovascular Medicine, Kobe University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
近年高齢者の心房中隔欠損(ASD)患者に対する,経皮的心房中隔欠損閉鎖術(ASO)は増加傾向にある.ASO後の右心負荷の軽減や左室の心拍出量の増大が,ASD患者の症状ならびに予後の改善に関連していると考えられている.しかしながら,ASO前後における両心室間の相互関係や,ASO後の左室心拍出量の増加に寄与する因子については十分に検討されていない.
【目的】
ASO後の両心室の変化と,左室の心拍出量増加に寄与する因子が何であるかを検討すること.
【方法】
ASOを施行されたASD患者70名を対象とした(平均年齢:57±16歳,女性:42例,左室駆出率:72±8%).全例術前および術後3ヶ月に心臓超音波検査を施行した.左室心筋機能の評価として,2次元スペックルトラッキング法を用いて,左室18領域のpeak strain値の平均であるGlobal longitudinal strain(GLS)を算出した.また左室18領域における収縮のばらつき(LV dispersion)をQRS波からpeak strainまでの時間の標準偏差として同時に算出した.右室収縮能指標として,2次元スペックルトラッキング法を用いて右室自由壁3領域のpeak systolic longitudinal strainの平均値を算出した(RV free-wall strain).年齢,性別,左室駆出率をマッチさせた健常20例とASD群とを比較検討した.
【結果】
ASO前の比較では,GLSはASD患者と正常群で有意な差は認められなかったが,RV free-wall strain(73.6±24ms vs. 52.4±18ms,p<0.001)とLV dispersion(28.1±4.9%vs. 25.2±2.0%,p<0.001)はASD患者で有意に大であった.ASO施行後GLSには有意な変化は認めなかったが,RV free-wall strainは有意に低下し(28.1±4.9から23.3±5.5,p<0.001),LV dispersionは有意に低下した(73.6±24msから62.1±19ms, p<0.001).多変量解析ではRV free-wall strain変化率(オッズ比1.03,p=0.049)とLV dispersionの変化率(オッズ比0.97,p=0.04)が,ASO後の左室心拍出量の増加に寄与する独立した規定因子であった.また,Sequential logistic解析では,患者背景にRV free-wall strainを加えたモデルでは有意に予測能が向上し(χ2=13.9; p=0.03),このモデルにLV dispersionを加えることにより,さらなる予測能の改善が認められた(χ2=17.8; p=0.04).
【結語】
左室駆出率が保持されているASD患者においてLV dispersionならびにRV free-wall strainは左室心拍出量の増加に重要な役割を担っている可能性が示唆された.ASD患者においては両心室を評価することが重要であると考えられた.