Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

奨励賞演題
奨励賞演題 基礎 奨励賞演題 基礎

(S520)

複数周波数を用いた脂肪肝における散乱体分布解析の基礎検討

Basic study of scatterer distribution analysis for fatty liver with multi-frequency ultrasound

田村 和輝1, 吉田 憲司2, MAMOU Jonathan3, 蜂屋 弘之4, 山口 匡2

Kazuki TAMURA1, Kenji YOSHIDA2, Jonathan MAMOU3, Hiroyuki HACHIYA4, Tadashi YAMAGUCHI2

1千葉大学大学院工学研究科, 2千葉大学フロンティア医工学センター, 3Lizzi Center for Biomedical Engineering, Riverside Research, 4東京工業大学大学院理工学研究科

1Graduate School of Engineering, Chiba University, 2Center for Frontier Medical Engineering, Chiba University, 3Lizzi Center for Biomedical Engineering, Riverside Research, 4Graduate School of Science and Engineering, Tokyo Institute of Technology

キーワード :

【はじめに】
複数の超音波によるびまん性肝疾患の定量診断法が臨床で実践されているが,主に線維化程度や脂肪沈着によるマクロ的な音波の減衰などと病理診断結果との相関性について検討されており,線維量や脂肪の沈着度,またはそれらの分布についての正確な情報を得ることができていない.
本報告では,摘出したラットの肝臓を計測対象として,腹部診断で用いられることの多い5 MHz,現状の高周波プローブで使用される15 MHz,さらに高周波の25 MHzの三種の周波数を用いてエコーデータを取得し,振幅包絡の統計解析により肝臓内の散乱体情報を得ることで,脂肪の量と分布を評価することが可能であるか検討した.
【検討方法】
15週齢のコントロールおよび脂肪肝モデルラットの各5個体から肝臓を摘出し,上記のそれぞれの中心周波数を有する3基の単一凹面振動子を用いて恒温槽中に固定した肝臓を計測し,サンプリング周波数250 MHzで三次元RFエコーデータを取得した.各エコーデータに対して,各振動子の分解能の3倍の大きさに規格化した直方体の関心領域を設定し,領域内部のエコー信号の振幅包絡を仲上分布とフィッティングすることで,特に散乱体数との関係性が強いパラメータμを算出し,肝構造との対応について検討した.
【結果と考察】
Figure 1は,15 MHzで取得したエコー信号において算出したμを,Bモード画像に重像表示した結果である.コントロールに比べて脂肪肝で全体的にμが高値となることと,高値を取る位置の空間的な分布に偏りがないことが確認できる.
Figure2は,各周波数で算出されたμの平均と標準偏差を示している.一般的に,正常肝においては散乱体となる微小な構造物が密かつ均質に存在しているために振幅包絡の統計的性質はレイリー分布に近似可能であるといわれており,この場合,仲上分布においてはμ=1となる.よって,5 MHzでは通常のエコー検査と同様に肝実質が主な散乱源となり,組織の均質性がエコー信号に表れていることになる,一方で,15 MHzおよび25 MHzでは脂肪滴が主な散乱源となっており,Fig. 1の結果でも示されたように肝臓中に密かつ均質に混在していることが想定される.
本結果より,肝臓中における脂肪などのターゲット組織を検出し,その量や分布を定量評価する手法として,複数の周波数の超音波を用いることが有効であると考える.
検討した.本研究の一部はJSPS科研費15H03030,15H01107の助成を受けた