Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

Keynote Lecture
Keynote Lecture 10 甲状腺 Keynote Lecture 10 甲状腺

(S513)

甲状腺結節超音波診断基準に則した診断の進め方

Practical applications of the ultrasound diagnostic criteria of thyroid nodule

福島 俊彦, 鈴木 眞一

Toshihiko FUKUSHIMA, Shinichi SUZUKI

福島県立医科大学甲状腺内分泌学講座

Dept. of Thyroid and Endocrinology, Fukushima Medical University

キーワード :

最近,各種画像検査の普及に伴い,甲状腺結節が偶発的に発見される機会が増え,その精査のため専門外来を訪れる患者も多い.精査の場合,他のモダリティに比べ,安価,簡便,低侵襲,空間分解能が高い,得られる情報量が多いなどの利点から,超音波検査が推奨されており,甲状腺超音波検査の重要性が益々高くなってきている.日常臨床上遭遇する頻度が高い甲状腺結節性病変について概説し,甲状腺結節の超音波診断基準に則した各種病変の所見について解説する.
1.腺腫様甲状腺腫,腺腫様結節の超音波所見
形状は整で円形ないし楕円形,境界明瞭,平滑,内部エコーは先述した2次的変化を反映し,低から高エコーまで多彩であり,不均質な場合も少なくない.境界部低エコーは認めない.
2.嚢胞の超音波所見
形状整,円形,楕円形,境界明瞭,内部は無エコーであることが多いが,網状,点状多重高エコースポットを認めることもある.後方エコーが増強する.
3.濾胞腺腫
濾胞上皮由来の良性腫瘍であり,濾胞癌との鑑別が問題となる.超音波所見は,形状整,円形ないし楕円形,境界明瞭,平滑,内部エコーは等から低で均質,微細高エコーは認めず,境界部低エコーを認め,整である.濾胞癌,特に微小浸潤型については,Bモードのみでは鑑別が困難であるが,血流評価,組織弾性評価を加味することにより,より詳細な解析が可能となってきた.濾胞腺腫では,腫瘍辺縁中心の血流パターンが特徴である.
4.乳頭癌
組織診断は,その特徴的な核所見;核溝,核内細胞質封入体,微細顆粒状クロマチンによってなされる.
超音波所見は,形状不整,境界不明瞭,粗雑,内部エコーは低,不均質,微細多発点状エコーを伴い,境界部低エコーなない.組織弾性評価では,硬く描出される.また,喉頭前,気管前,気管傍,深頚リンパ節の転移が描出されることも多く,参考になる
5.濾胞癌
組織診断は,浸潤所見:脈管侵襲像,被膜浸潤像によってなされる.あるいは肺,骨などの遠隔転移を認めた場合に,臨床診断がなされる.微小浸潤型と広範囲浸潤型に分類されるが,微小浸潤型濾胞癌と濾胞腺腫の術前鑑別診断は困難である.
濾胞癌を疑うべき超音波所見として,① 内部エコーが低く,不均質であること,②境界部低エコー帯の消失あるいは不整,③結節サイズが大きいことが知られている.
血流パターンは,内部優位で,貫通血管を認める.組織弾性評価では,硬く描出されることが多い.
6.髄様癌
C細胞を発生母地とする甲状腺癌で,腫瘍細胞からのカルシトニンの分泌を免疫組織学的に証明することで診断される.超音波所見は,形状整ないし不整,円形〜楕円形,内部エコーは低で,微細から粗大高エコー(典型的には牡丹雪状)を伴う.甲状腺中部より頭側,特に頭側1/3部分に発生し,両側病変の場合は,多発性内分泌腫瘍症2型の併存を想起した精査が必要となる.
7.未分化癌
急速に増大する頚部腫瘤で,圧排,浸潤に伴う臨床症状を呈する.超音波所見は,腫瘤が大きいため,全体の形状を評価することは困難であることが多い.特徴としては,内部エコー不均質,高濃度の非定型石灰化,びまん性低エコー,リンパ節の壊死像,周囲への浸潤などがある.
甲状腺結節超音波診断基準に則した,観察,所見記載が,正確な診断の近道である.