Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 頭頸部
シンポジウム 頭頸部(JSUM・JABTS共同企画) 頭頸部癌頸部リンパ節転移の超音波診断

(S501)

音響放射圧によるエラストグラフィーの頭頸部癌リンパ節転移診断への有用性

Utility of novel elastography using acoustic radiation force impulse for diagnosing metastatic lymph nodes from head and neck cancer

福原 隆宏, 堂西 亮平, 松田 枝里子, 北野 博也, 竹内 裕美

Takahiro FUKUHARA, Ryohei DONISHI, Eriko MATSUDA, Hiroya KITANO, Hiromi TAKEUCHI

鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野

Department of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, Tottori University Faculty of Medicine

キーワード :

【はじめに】
超音波エラストグラフィーとは,超音波を利用して組織の硬さを評価する技術である.従来のエラストグラフィーは用手圧迫で組織を歪ませ,相対的な歪み程度を色の分布で表現するため,評価組織の硬さは周囲組織との比較で評価する.組織の歪みは用手圧迫の程度によって変化するため,超音波診断装置に描出される色の分布画像は,圧変化に応じて刻々と変化する.検者は主観的に,動画の一部を静止画として評価するため,その画像の再現性には問題がある.
一方で用手圧迫の代わりに収束超音波で組織を音響的に圧迫する新しいエラストグラフィーは,ARFI(Acoustic Radiation Force Impulse:音響放射圧)エラストグラフィーを呼ばれ,一回の音響圧迫に対し,組織のずれを一つの静止画で評価する.このエラストグラフィーは収束超音波を照射したときの組織のずれを画像化するものであり,主観的に画像を選択しない.このため,検者間そして検者内での再現性が高いことが期待されている.さらに用手圧迫はプローベの接触面全体を押し込むのに比べ,音響圧迫は局所に音響圧迫を加えるため,細やかな評価が可能と予測される.
この度われわれは,頭頸部扁平上皮癌の頸部リンパ節転移診断に対するARFIエラストグラフィーの有用性について検討を行った.
【方法】
頭頸部扁平上皮癌の頸部リンパ節転移を治療前に超音波評価し,手術により病理組織が明らかになったものを対象とした.悪性疾患をもたない患者の反応性リンパ節腫大をコントロールとした.超音波機器はACUSON S2000 ultrasound system(Siemens Medical, Erlangen, Germany)を使用し,従来の用手圧迫エラストグラフィー(eSie Touch Elasticity Imaging)とARFIエラストグラフィー(Virtual Tissue Imaging)の結果を比較し,同時にARFIエラストグラフィーの再現性を評価した.リンパ節の転移診断は,用手圧迫エラストグラフィーでは4段階評価のGrade3または4を転移とし,ARFIエラストグラフィーは3段階評価のGrade3を転移と判断した.
【結果】
20個のコントロールと46個の転移リンパ節を評価した.コントロールの長径の中央値は14.6mm(12.1-16.9),転移リンパ節の長径の中央値は15.4mm(13.5-21.9)であった.
コントロールのエラストグラフィーの評価は,用手圧迫エラストグラフィーではGrade1またはGrade2が15個,Grade3またはGrade4が5個であり,ARFIエラストグラフィーではGrade1またはGrade2が20個,Grade3が0個であった.
転移リンパ節のエラストグラフィーの評価は,用手圧迫エラストグラフィーではGrade1またはGrade2が16個,Grade3またはGrade4が30個であり,ARFIエラストグラフィーではGrade1またはGrade2が9個,Grade3が37個であった.
結果として,用手圧迫エラストグラフィーでは感度65%,特異度75%であり,ARFIエラストグラフィーでは感度80%,特異度100%であった.
ARFIエラストグラフィーの画像は,安定した評価が得られた.
【結論】
ARFIエラストグラフィーは従来の用手圧迫エラストグラフィーよりもリンパ節の良悪性診断に優れており,安定した結果が得られた.