Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 運動器
パネルディスカッション 運動器(一部英語) 知っとく(得)! 救急現場における運動器超音波

(S494)

わかる!できる!足関節捻挫の超音波検査

Ultrasonographic examination for ankle sprain

笹原 潤1, 2, 3

Jun SASAHARA1, 2, 3

1帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科, 2帝京大学スポーツ医科学センターメディカル部門, 3帝京大学医学部整形外科学講座

1Department of Sport and Medical Science, Faculty of Medical Technology, Teikyo University, 2Medical Department, Teikyo University Institute of Sports Science and Medicine, 3Department of Orthopaedic Surgery, Teikyo University School of Medicine

キーワード :

足関節捻挫は,整形外科診療のみならず救急現場においても遭遇する機会は多い.その診断において,医療面接に続いて身体所見をとった後に(時にはその前に)単純X線検査を行うという流れが,しばしばルーティンとなっている.そのため,慌ただしい救急現場においても画像診断の第一選択として単純X線検査が行われ,少ないマンパワーの中では長時間を要することも多い.さらに,足関節捻挫の結果生じる傷害の90%は軟部組織損傷であるため,長時間かけて行った単純X線検査は,多くの場合徒労に終わっていた.しかし,その画像診断の第一選択を単純X線検査から超音波検査に変更することで,救急現場において必要な情報を,短時間で入手できるようになる.
まず,超音波検査により骨折の有無を評価する.超音波は,皮質骨表面でほとんど反射されてしまうため,骨の評価には適していないとも言われている.しかし,骨表面の微細な変化を捉えることに関しては単純X線検査よりはるかに優れており,骨折の有無を評価するにあたって超音波検査は有用である.骨折があった場合は,超音波検査で骨折の全体像を把握することは困難であるため,単純X線検査を追加することになるが,その頻度は少ない.
超音波検査で明らかな骨折が確認できない場合は,引き続いて前距腓靭帯の超音波検査を行う.前距腓靭帯は,足関節捻挫によって最も損傷される頻度が高い靭帯である.また,小児や40歳以上においては,前距腓靭帯実質部の損傷ではなく,しばしば腓骨側に裂離骨折をきたしていることに注意して観察する.損傷部位が確認できた場合は,前方引き出しストレスを加えて,断裂部位の不安定性についても評価する.前距腓靭帯の次には,前下脛腓靭帯,リスフラン靭帯背側線維の超音波検査も行う.これらの損傷があった場合は,患肢の免荷が必要となる.その他には,疼痛部位に応じて踵腓靭帯,腓骨筋腱,距骨下関節,踵骨前方突起,三角靭帯,外脛骨といった部位の超音波検査も行う.
これらすべての検査に要する時間は,手技に習熟していれば5分もかからない.また,救急の初療室で超音波検査を行うとができれば,移動時間も含めると大幅な時間短縮が可能となる.本発表では,足関節捻挫の新しい診断アルゴリズムに基づいて,足関節捻挫によって生じる各傷害に対する超音波検査を解説する.