Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 運動器
パネルディスカッション 運動器(一部英語) 知っとく(得)! 救急現場における運動器超音波

(S494)

わかる!できる!骨・軟骨の超音波検査

Ultrasonography usefulness for the bone and cartilage disorder

松崎 正史

Masashi MATSUZAKI

ソニックジャパン株式会社

Sonic Japan Co., Ltd.

キーワード :

救急現場における骨・軟骨の疾患といえば,骨折を代表とする外傷性疾患を想定されるのではないだろうか.骨折に対する画像診断法といえば「単純X線撮影がゴールデンスタンダード」という意見が大半を占め超音波検査の出る幕はあるのか,と疑念が生じてくる.外傷による骨折に対しての超音波検査は,鮮明に病変部位の描出が可能である.特に肋骨骨折における検出感度については単純X線撮影と比較して超音波検査の方が優れているというエビデンスがあり,その有用性が示されている.しかしながら,あくまでも超音波検査で描出される骨折は,超音波が届く範囲の領域に限られておりすべての運動器に対して適応を可能とするものではない.また,骨折線の範囲や周辺組織の損傷の領域を推察する上ではFOV(field of view)の広い単純X線撮影の方が簡便な検査法であり,救急現場においては診断から治療プロセスの選択に対して迅速に行えるものと考える.
ところが,救急現場で遭遇する運動器疾患には,外傷によって引き起こされた疾患であるが,単純X線では描出できかった病変が潜在的存在しており,その病変が骨や軟骨障害によって起因することにより発症する病態が多く含まれている.その潜在的要因は超音波検査ならではの有用性によって病態を検出することができるのである.
今回,救急現場における骨・軟骨障害に対して,超音波というモダリティーの特性を活用した検査により,その病態の要因を紐解くことで発症の予測,予防についての「知っとく(得)」情報を解説する.