Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 運動器
シンポジウム 運動器(一部英語) 新しい超音波技術で運動器を評価する

(S489)

CD SWI法による骨格筋の新たなせん断波エラストグラフィ

A novel shear wave elastography of skeletal muscles by CD SWI method

山越 芳樹1, 山本 敦史2, 弓仲 康史1, 砂口 尚輝1

Yoshiki YAMAKOSHI1, Atsushi YAMAMOTO2, Yasushi YUMINAKA1, Naoki SUNAGUCHI1

1群馬大学理工学府, 2群馬大学大学院医学系研究科

1Graduate School of Science and Technology, Gunma University, 2Graduate School of Medicine, Gunma University

キーワード :

【はじめに】
体表に置いた小型加振器でせん断波を骨格筋内に励振させ,この時に骨格筋内を伝播するせん断波を観測する新たな映像化法として,我々はColor Doppler Shear Wave Imaging(CD SWI)法を提案した.この方法は,せん断波の周波数がカラードプラ法のパルス繰り返し周波数と関係を持ち,かつ,せん断波の振幅が数十ミクロン以上あるときにカラードプラ画像上にせん断波の波面が推定流速値0と最大の2値画像として現れることに着目した方法である.この方法は,①従来のエコー装置を改造する必要がなく,非常に低廉にせん断波エラストグラフィが構築できる,②骨格筋を伝わるせん断波の波面が実時間で観測できる,③せん断波の波面をカラードプラ画像と同じフレームレートで観察できるので骨格筋の早い弾性変化の観察に向く,④せん断波の伝播速度像や伝播方向像など定量画像が得られる,⑤強力な超音波を使わないのでARFI法に比べて生体へ与える音響エネルギーが小さい,など多くの特徴を有する.
【方法及び結果】
IRB承認の下で提案法を骨格筋に適用した.カラーフロー画像(CFI)を約2秒間の間ビデオキャプチャで記録し,PC内で各ピクセルに対してフーリエ解析を行うことで得た,せん断波の位相像,伝播速度像,伝播方向像を示す.せん断波の位相像はせん断波の波面を表しており,伝播速度像は弾性率に直接関係する画像である.これらの図から骨格筋をほぼ筋線維方向に伝わるせん断波の様子がよくわかる.また筋の弛緩時,緊張時の伝搬速度の大きな違いも観測された.
【まとめ】
体表に置いた小型加振器でせん断波を励振するせん断波エラストグラフィのための新たな映像化技術としてCD SWI法を提案した.骨格筋へのエラストグラフィの適用では,筋線維方向とそれと直交する方向で伝播速度が変わる異方性を考慮した測定,スポーツ医学等への応用では運動による組織弾性の速い変化を捉える時間分解能など高い性能が要求されるが,CD SWI法はこれら要求を満たすせん断波エラストグラフィを非常に廉価に構築できる方法と考えられる.
1)Y.Yamakoshi, et al. Ultrasonic Imaging, 37,4,323(2015).