Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
ワークショップ 血管 1 血管診療に必要なモダリティは何か?!血管エコーvs他のモダリティ

(S480)

血管疾患の治療に求める画像と各種モダリティの位置づけ

How should we choose effective imaging modality for pre-procedual assessment of vascular disease ?

岡島 年也

Toshiya OKAJIMA

こだま病院循環器内科

Cardiology, Kodama Hospital

キーワード :

血管疾患診療には,診断確定から治療方針の検討まで詳細かつ正確な血管病変を評価するには画像診断が必須である.現在,エコー,CT,MR,核医学検査,カテーテルと多種多様なモダリティが血管疾患診療に使用可能となり,かつ各種モダリティの特徴を活かした診断法が開発された結果,多角的診断による最適な治療法を選択できるようになった.また,近時,無侵襲検査である血管エコーが血管疾患の早期診断および局所診断ができるようになったことから,従来,血管疾患の確定診断にgold standardとされてきた侵襲度の高いカテーテル造影検査の施行頻度は減少傾向にあり,血管エコー検査が血管疾患に対する画像検査法の第一選択となりつつある.次に,治療する観点から画像検査をどのように選択するかを検討する際,血行再建術を施行する場合を除いて,造影検査まで必要となることは少なくなった.その理由は,血管エコーによる局所診断能が確立し得たことに加えて各種モダリティによる多角的診断が,血行再建だけでは病態の改善を得られない事が再認識されてきていることも造影検査の必要性の是非や実施件数の減少に関して少なからず影響していると考えられる.特に高齢化社会である現在,診断から治療まで低侵襲が求められていることも無侵襲検査であるエコーが選択される所以である.しかしながら,血行再建術や外科的治療法は治療法の選択肢の一つであることにかわりはなく,病態に応じて造影検査を適宜選択し,最終的に適切な治療方針を決定しなければならい.
以下に,血管疾患診療での各種モダリティの位置づけについて述べる.
①大動脈疾患は,診断確定する上で詳細な大動脈の形態評価が必要であるため,CTやMRが第一選択となる.さらに急性大動脈解離や感染性または炎症性大動脈瘤の場合にはCTやMRでの造影検査は必須である.また手術検討が必要である大動脈疾患も同様,造影CTが主に選択される.一方,経過観察目的の場合には必ずしも造影検査まで施行する必要はなく,特に,末梢動脈瘤や上行または腹部大動脈瘤の場合にはエコーでも十分対応可能である.
②閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis obliterans: ASO)ではABIと歩行負荷試験でのABI低下率が病態診断および治療方針決定に重要であり,重症下肢虚血へ進行した場合や血行再建術を要する場合に限って血管病変の評価が推奨されている.ただし,末梢動脈疾患(Peripheral arterial disease: PAD)として考える際には画像診断は必須であり,病態に応じて各種モダリティを併用することが有用である.
③静脈血栓塞栓症(Venous thromboembolism: VTE)は,不安定な血行動態を呈する肺血栓塞栓症を除いて,心・血管エコーで血栓および循環動態を評価し得れば治療可能である.エコーで初期診断した上で病態に応じて造影検査や核医学検査を施行し,慢性期に危惧される血栓後症候群まで考慮して治療すべきである.
以上に述べたように,本講演では,治療する立場の観点から各種モダリティをどのように選択し,治療するかについて述べたい.