Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
ワークショップ 血管 1 血管診療に必要なモダリティは何か?!血管エコーvs他のモダリティ

(S478)

治療前後の評価に有用な動脈エコー

The artery echo that is useful for an evaluation before and after the treatment

小谷 敦志

Atsushi KOTANI

近畿大学奈良病院臨床検査部

Department of Clinical Laboratory, Kindai University School of Medicine NARA Hospital

キーワード :

超音波における全身の動脈に対する治療前後の評価について,外科的治療と血管内治療に分けて有用性を述べる.
①外科治療
・治療前の評価
近年,膝下の下腿動脈についてバイパスが行われるようになった.下腿から足部動脈へのバイパスでは自家静脈グラフトが使用されることが多い.この場合の長期開存成績は末梢吻合部以遠のrun-off状態により決まる.超音波では末梢動脈の比較的細い動脈の吻合部の観察や,吻合部あるいはそれ以遠の血流を評価することで,吻合部より末梢の動脈の機能的な情報を容易に得ることができる.また,これらの検査中に自家静脈グラフトの対象となる伏在静脈の評価も可能である.対象となる伏在静脈の径や血管性状を観察することで,自家静脈グラフトとして適するか否かの評価が同時にできる.
70%以上の症候性頸動脈高度狭窄では,頸動脈内膜剥離術(CEA:carotid endarterectomy)を行うことが推奨されている.超音波ではその特性を活かし,低エコー輝度や可動性プラークの有無,治療対象病変が近位壁か遠位壁かなどの詳細なプラークの位置情報を提供することでCEAの範囲決定に役立つ.
・治療後の評価
自家静脈グラフトを使った際の下腿から足部動脈へのバイパスの合併症として,吻合部の狭窄や閉塞,自家静脈グラフト内の閉塞などがある.これらの評価においても詳細に血管内を観察できる超音波は優れている.
CEA後において,内膜が過剰増殖する場合や可動性のプラークを認めることがあり,これらの微細な変化の観察において超音波は有益である.
②血管内治療
・治療前の評価
内頸動脈狭窄症において,頸動脈内膜剥離術(CEA)の治療成績を不良にする因子を持つ症例に対し,我が国でも頸動脈ステント留置術(CAS)が広く施行されている.超音波の特性を活かした術前評価として,プラーク性状や可動性プラークの有無の評価には簡便に施行できる超音波が優れている.
腹部大動脈瘤では,瘤径が5.0 cmを越えていれば手術治療について考慮される.特に.4.0〜5.0 cmの場合は年齢,体重,合併症などを考慮することになるが,腹部大動脈瘤の増大スピードは瘤径の拡大とともに速くなるため瘤径の経過観察は重要である.CTは仰臥位による単純な横断面であるため,動脈瘤の蛇行や複雑な瘤形状では,正確な瘤径評価ができない可能性ある.超音波は,蛇行した動脈でも適切な断面を設定し計測することが可能なことや,同時に瘤内の血栓やプラークなどの異常も容易に評価可能である.
・治療後の評価
頸動脈ステントのにおける血管内治療前後の評価術後の評価では,数ミリ単位で形成されるステント内の内膜過剰増殖を早期に発見することができる.また,超音波ではステントから遊離した浮遊性血栓を早期に発見できる.
腹部大動脈瘤の血管内治療として,腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)が施行されている,EVAR施行後は,造影CTもしくは超音波検査を定期的にかつ永久に行う事が推奨されており,腎機能低下例における頻回の造影CTは躊躇するところである.超音波ではドプラ法を駆使することでEVARの合併症として最も多いエンドリークの評価が可能である.
まとめ
血管領域における超音波検査診断の特徴は,①簡便で繰り返し行える無侵襲検査であること,②リアルタイムな画像情報が得られること,③血流情報が可視化できることである.特に動脈エコーでは,心拍に由来する拍動性の血流を利用し効率よく評価できるため有用性が高いと考える.