Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
パネルディスカッション 血管 2 血管エコーにおける指導育成

(S470)

腹部超音波指導検査士の立場からみたエコー検査者の指導育成

Education and human recource development in the view of Registered Senior Medical Sonographer

浅野 幸宏, 長谷川 雄一

Yukihiro ASANO, Yuichi HASEGAWA

成田赤十字病院検査部生理検査課

Department of Clinical Functional Physiology, Narita Red Cross Hospital

キーワード :

■はじめに
当院は救命救急センターを擁する地域中核医療機関であり,臨床検査技師49名が在籍,うち超音波検査を業務とする生理検査課に17名が配属されている.当院の特徴として,24時間対応の超音波検査が挙げられる.したがって配属者の教育目標は,緊急検査に対応できる幅広い内容の超音波スキルとなる.現在,日本超音波医学会認定超音波検査士5名,同腹部領域指導検査士2名.4学会認定機構血管診療技師2名が在籍する(複数資格取得込).施設背景は以上であるが,実際超音波検査における技師教育をどのように行っていけばいいのか,当院における教育段階を提示しながら考えてみたい.
■解剖知識
臨床検査技師として常識的な解剖知識に加え,超音波解剖すなわち画像診断における解剖知識が必須である.これは,超音波に限らず他のモダリティー(胸腹部X線,CT等)を読影する際にも必要になる.一般書籍で学習後,臨床現場では常に超音波画像と対比できる知識を養うために,繰り返し得られた超音波像と比較する習慣を身に付ける.
■超音波の基礎知識に精通
超音波検査士受験を当面の目標とし,日常検査を経験しながら基礎知識にも視野を広げる様にする.
■装置の取り扱いに精通
診断装置の技術革新はめざましく,種々のアプリケーションも付加されてくる.これら各々の特性を理解して,正しく使用することにより診断に寄与することができる.超音波の原理をある程度理解した上で,装置の能力を十二分に引き出せる使い方をしなければならない.熟練者の撮った画像と初心者の画像とでは,同じ装置を使ったと思えないほどの差が出てくるものである.いかに装置を使いこなし,客観的で説得力のある画像を得ていくためには必須のものである.
■病態生理を理解
個別の疾患知識は言うまでもないが,臨床検査全般に対する幅広い知識の上に成り立つものと考え,超音波検査にこだわらず平素より各臨床検査項目について,検査目的や方法,正常値(像)や異常値(像)についても学習しておく必要がある.これら基礎知識のもとに,病態生理を合わせて理解することにより,症状に対する疾患と鑑別していかなければならない疾患が,ディシジョンツリーのごとく頭の中で広がっていくことができる.
■ステップアップ
各領域における基本断層像の描出が確実にできることを確認したのち,いわゆるスクリーニング患者を中心に上級者(超音波検査士取得者が望ましい)とともに臨床トレーニングを開始する.指導的介入をしながら,数十例数百例と経験を積み重ねていく.最終目標は,急性腹症などの緊急処置を要する患者様に対しても迅速な対応,正確な検査報告が常にできることである.本人の資質にもよるが,専属的に超音波検査に従事していくことが困難であることも含めれば,ここに至るまでには数年かかるのが現状である.
■検証する
自分の所見を検証することを心がける.例えば,CT・内視鏡・手術等で診断された結果に対して,超音波所見と照らし合わせて読影できた点,できなかった点を明らかにし,その疾患に対する超音波検査の役割,どのような情報が大切であったかなどを再認識する.この繰り返しが大切であり,今後の検査に必ず役立つ.
■おわりに
当院における超音波検査に対する基本的な教育段階を報告した.実際には超音波検査に専従することは難しく,ローテーション実施などの職場環境や,個人的資質などの要素も加わり形式的な教育方法では対応が難しくなることも多々経験する.しかし,あらゆる局面にも柔軟に対応して教育および指導を進めていくことが大切である.何よりもその先にある患者様のために.