Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 血管
シンポジウム 血管 2 ERで活かす血管エコー

(S462)

血管追跡ソフトを用いた内頚静脈cardiac variation解析による循環動態評価

Hemodynamics assessment by cardiac variation of internal jugular vein with the software to track vessels

中村 謙介

Kensuke NAKAMURA

日立総合病院救急集中治療科

Emergency and Critical Care Medicine, Hitachi General Hospital

キーワード :

【背景】
救急・集中治療における血管内水分量や心拍出量の評価は非常に重要なものである.超音波による下大静脈IVCの呼吸性変動計測や心エコーは非侵襲的で救急現場において多用されているが,前者には測定者の主観の問題,後者には技術習得の問題を内包する.ERにおけるassessmentは簡便であること,誰にでも実施できることが求められる条件と言える.これらの問題を解決すべく,我々はIVCを自動追跡/解析するソフトウェアを東京大学工学部と開発し,IVCの心拍による変動cardiac variationを解析し,心拍変動によるcollapse indexが血管内水分量と相関することを見出した(J Med Ultrasonic.2013).心拍変動は非常に短時間でおこるためにこれまで解析されてこなかったが,ソフトによる解析が非常にしやすいという利点があり,ERにおける臨床試験でも呼吸性変動との相関を見出した(Journal of Critical Care.2015).さらに安定した解析を行える内頸静脈でボランティア対象に詳細な検討を行った.
【方法】
Snakesとspeckle trackingを組み合わせた内頚静脈追跡ソフトを作成した.健康男性11人にpre,運動負荷,脱水負荷を行い,内頸静脈エコーを実施,心エコーにて他の循環動態指標の評価を行い,中心静脈圧CVPはエコープローブ圧迫法を用いて計測した.内頸静脈面積の3心拍によるmax-min/maxを心拍変動によるcollapse indexとした.
【結果】
ソフトにより内頚静脈の精確な解析が可能であった.運動負荷(stroke volume SV+14.5±3.8ml)に対し内頸静脈面積の心拍によるcollapse indexは0.31±0.04→0.44±0.06と変化した.一方脱水負荷(体重-532±41g,CVP-3.7±0.4mmHg)に対しcollapse indexは0.33±0.04→0.49±0.04となった.collapse indexはSVと(r=0.59),平均面積はCVPと正の相関関係を示した(r=0.72)(すべてp<0.05)
【考察】
静脈のcardiac variationはその時相や波形からvenous returnにより生じていると考えられる.この結果から内頚静脈cardiac variation解析からCVPやSVを推定できる可能性が示唆される.内頚静脈の描出は非常に容易で誰にでも行うことができ,これをソフトが自動解析することで簡便かつ客観的な,すなわちERで最も求められるassessmentを実現できる可能性がある.しかし即座にはreal-timeかつ救急医が扱えるインターフェースの開発が難しく,臨床試験のための最大の課題となっている.超音波検査室での試験と比べERでは常に患者の病態が悪化する危険をはらんでいるため,簡便なインターフェースが必要不可欠であることがこのような新規ソフトウェアを用いた研究の大きなハードルとなる.本学会で超音波画像解析のソフト開発と臨床試験に関して御意見を賜りdiscussionできればと考える.