Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 腎・泌尿器
教育講演 腎・泌尿器 小児腎・泌尿器疾患の超音波診断

(S454)

小児腎・泌尿器の超音波診断

Ultrasound of pediatric urinary system

野坂 俊介

Shunsuke NOSAKA

国立成育医療研究センター放射線診療部

Radiology, National Center for Child Health and Development

キーワード :

【はじめに】
小児は成人と異なり,体格が小さく,放射線感受性が高い,といった特徴がある.これらを考慮すると,小児腹部領域において超音波検査の果たす役割が極めて大きいことは容易に理解できる.
【超音波検査の特徴・小児の特徴】
一般的な超音波検査の利点は,低侵襲,被曝がない,簡便,装置が小さくベッドサイドでも実施可能,といった点である.さらに,小児腹部領域では,高周波探触子を使用できるという利点がある.一方,一般的な超音波検査の欠点は,所見が再現性に乏しい,得られる所見が術者の技量に大きく依存する,といった点である.超音波検査を含む画像診断を行ううえで重要な小児の特徴として,被検患児の協力が得られないことが挙げられるが,これには,ビデオ供覧,保護者の同伴,適切な身体抑制(固定)でほぼ対応可能である.
【検査の実際】
演者の施設では,体幹・表在の超音波検査のほとんどを中央化し,臨床検査部に配備された装置で放射線科医と超音波検査士が協同で行っている.
小児腎・泌尿器超音波検査の適応は,出生前診断された病変の出生後評価,腹部腫瘤,尿路感染症,血尿,尿路結石,腎生検後,腎移植後,腎外傷後,など多岐にわたる.その他,他臓器病変の評価中に偶然,腎・泌尿器疾患が発見されることもある.
実際の検査は,被検患児を仰臥位とし,各部を縦および横の2断面で評価することが基本で,適宜斜位断面を追加する.年齢によっては,検査開始直後に排尿する可能性のため,膀胱の評価から開始する.
膀胱は,形状,壁の性状,尿管口から膀胱内腔に向かうジェット状の尿の排出(カラードプラ併用),尿管瘤を含む隆起性病変の有無と正常,残渣の有無を評価する.続いて膀胱背側の下部尿管を評価する.骨盤腔腹水についても評価する.女児では,内性器の評価も重要である.膀胱内腔が虚脱していれば,検査後半に再度評価することにして腎臓の評価を優先する.
腎臓は後腹膜臓器で,通常は上腹部背側に位置している.右腎は肝右葉に,左腎は脾臓に接し,上極は背側やや内側に,下極は腹側やや外側に存在し,両腎を正面からみると「ハの字」となっている.これらの位置関係を念頭に走査する.肋骨弓に平行に走査し,腎臓が最大径となる断面で縦径を計測し,これより外側ならびに内側部分も評価し,全てを記録に残す.その際,実質のエコー輝度ならびに血流,中心高エコーとのエコー輝度の差,占拠性病変の有無など評価する.中心高エコー内に無エコー域が存在する場合は,水腎症を考慮する.水腎症には,その程度に応じた分類がある(SFU分類).腎盂拡大は,横断像で腎門部での腎盂前後径で評価する.腎盂壁の厚さも重要な観察項目である.仰臥位で腎臓の評価が困難な場合は斜位から側臥位とし,やや背側から走査すると描出しやすくなる.腎臓が描出困難な場合は,腎低形成,腎欠損,腎摘出後,異所性腎,といった病態を考慮する.腎下極描出困難時は,馬蹄腎を念頭に走査する.腎臓の大きさの左右差を認めた場合は,腎実質のエコー輝度や腎実質菲薄化の有無,年齢に応じた腎臓縦径の正常値,腎血流などを参考に,委縮,腫大,あるいは,正常亜型かを判断する.
実際の講演では,超音波検査以外のモダリティとの比較も含め,典型例のみならず,診断に苦慮した例も提示する.