Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 腎・泌尿器
パネルディスカッション 腎・泌尿器 2(JSSとの共同企画) 腎泌尿器疾患で必須な超音波所見を得るためのルーチンテクニックを探る

(S452)

下部尿路疾患のルーチンテクニック

Routine ultrasonographic examination on lower urinary tract

皆川 倫範, 石塚 修

Tomonori MINAGAWA, Osamu ISHIZUKA

信州大学医学部泌尿器科学教室

Urology, Shinshu University School of Medicine

キーワード :

泌尿器科領域に於いて,尿路を上部と下部に分けることには臨床的に意義深い.主に尿の生成を司る上部尿路と,蓄尿・排尿を司る下部尿路では,超音波検査を行う際には意識を切り替えて観察するべきである.下部尿路疾患の診療で,超音波検査に求められるものは多々ある.検査としての性質は,診断および手技の補助に二分される.診断として代表的なものは,悪性腫瘍の診断と排尿機能の評価があげられる.悪性腫瘍の診断においては,スクリーニングとしての役割,膀胱腫瘍の検索,膀胱腫瘍の深達度評価,術後の経過観察が挙げられる.排尿機能の評価として最も重要なのは,残尿測定である.残尿は導尿・CTでも評価は可能といえば可能であるが,侵襲性とコストを考慮すると,超音波検査に圧倒的な利がある.残尿測定を中心として,下部尿路症状患者に対する初期スクリーニングおよび治療効果判定,前立腺重量の測定,自己導尿患者の合併症管理,前立腺癌治療後合併症管理など,泌尿器科外来で超音波検査は欠かせない存在である.超音波検査所見は下部尿路症状の診断に有用な所見を得ることができる.膀胱壁の肥厚・血流,肉柱形成・憩室の有無は排尿筋の状態,とくに蓄尿障害を知る重要な手がかりである.また,前立腺が膀胱に突出している部分の体積(intravesical prostatic proportion)と,前立腺部尿道角(prostatic urethral angulation)は下部尿路閉塞を示唆する所見である.自覚所見(患者の訴え)と,他覚所見(超音波検査所見,尿流測定検査など)をまとめて,下部尿路症状の診療を行うべきである.また,典型的過ぎる下部尿路症状患者や小児では,思い込みから基本的検査を省略してしまう場合がある.しかし,時にその陰には悪性疾患や小児良性腫瘍性病変など,よもやと思う症例を経験することがある.そういった症例に接すると,あらためて「ルーチンテクニック」としての超音波検査の重要性を痛感する.そして,超音波検査は手技の補助としても重要な役割を持っている.現状の臨床現場で「ルーチン」として行われているわけではないかもしれないが,超音波検査の低侵襲性とコスト,そして得られる患者利益を考慮すると,ぜひ行うべき方法がいくつかある.膀胱のクロットタンポナーデにおける膀胱内凝血除去術,尿道カテーテル留置,膀胱癌における双手診,レーザー前立腺核出術におけるモーセレーションというような,泌尿器科領域における一般的な診療行為の補助や病態理解の補助としての有用性がある.本講演では,「ルーチンテクニック」を必要とする泌尿器科初学者および超音波検査技師を対象に,超音波検査による下部尿路疾患に対する基本的なアプローチ法と,泌尿器科手技の補助としての超音波検査を供覧し,日々の診療に役立てて頂きたい.