Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 腎・泌尿器
パネルディスカッション 腎・泌尿器 2(JSSとの共同企画) 腎泌尿器疾患で必須な超音波所見を得るためのルーチンテクニックを探る

(S451)

腎血管描出のルーチンテクニックとコツ

Routine technique for renal vascular ultrasonography

三木 俊

Takashi MIKI

東北大学病院生理検査センター診療技術部生理検査部門

Department of Clinical Physiology Center, Tohoku University Hospital

キーワード :

【はじめに】
腎血管エコーの有用性は論文や学会等で多く報告されている.依頼内容の多くは腎血管性高血圧の診断であり,動脈硬化性(粥状)腎動脈狭窄症の有無を診断する検査である.しかし,他の疾患も隠れている場合もるため年齢や性別,病態を考慮して走査することが重要である.
【腎血管エコーの指標】
動脈硬化性の腎動脈狭窄症は腎動脈起始部に狭窄が見られることが多く,腹部大動脈から分岐する腎動脈を同定し,狭窄の有無を診る.腎動脈起始部の収縮期最高血流速度(PSV: peak systolic velocity)が,180cm/sec以上かつRAR(RAR:renal/aorta ratio)が3.5以上の場合,60%以上の狭窄が疑われる.若年女性の高血圧では,線維筋性異形成(FMD: Fibromuscular dysplasia)を疑い,腎動脈の中部から遠位部の狭窄・拡張病変を観察する.実際の検査では,上記以外にも腎臓の形態や副腎を観察し,腎内の血流評価や腫瘍の有無,高血圧に頻発する腹部大動脈瘤や腸骨動脈瘤,動脈解離の発見なども一連の検査として行うと有用性の高い検査となる.
【腎動脈起始部の描出】
1. 心窩部正中走査にて消化管ガスの途切れた場所を探す.側臥位などの体位変換にて消化管ガスを移動させることで描出可能な場合もある.
2. 圧迫にて腹部大動脈をプローブに近づける.圧迫困難な場合には膝を曲げることで腹部の緊張を緩和させることができる.
3. 腹部大動脈を中心に下方へプローブを移動させ,上腸間膜動脈を描出する.
4. 上腸間膜動脈を基準にカラードプラ(流速レンジ30〜40cm/s)を用いてプローブをゆっくり末梢側へtilting scanする.一本の腎動脈を見つけて安心せず,複数腎動脈の確認を行う.
5. 狭窄のある患者は血管が細く,特に描出困難である.より微細なアプローチが要求される.
6. 側腹部からの走査では腎臓と腹部大動脈を同画面で描出しカラードプラ(20〜30cm/s)を用いて腎動脈起始部・中部・遠位部を描出する.
【腎内血管の描出】
1. 腎内の血管を描出する場合にはカラードプラの流速レンジを下げて(10〜20cm/sec)描出する.
2. 腎内のどこのレベルの腎動脈を計測しているのか明確にする.(区域動脈,葉間動脈)経過観察する場合には同部位の計測が好ましい.
3. 腎臓は呼吸により頭側・足側に移動するため,軽く息止めを行う必要がある.最低3心拍の連続した明瞭な波形を検出する.
4. AT(acceleration time)の測定と収縮期ピーク波を判定する場合にはSweep速度を速くする必要がある.
【まとめ】
腎動脈狭窄症が高血圧の発症に関与しているかの判定は難しい.実際,腎実質性障害(腎硬化症,萎縮性腎症,慢性腎症,糖尿病性腎症)を伴う場合,腎動脈狭窄症を改善しても血圧改善が難しい場合がある.しかし,他の血圧上昇疾患がある場合でも腎血管性高血圧の判定は重要であり,今後の治療を進める上で腎動脈狭窄症が有る・無しの判定はきわめて重要である.2015年,本学会の用語・診断基準委員会からリリースされた「超音波による腎動脈病変の標準的評価法」を中心に症例を交えて腎泌尿器疾患のルーチンテクニックをディスカッションしたい.