Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 腎・泌尿器
パネルディスカッション 腎・泌尿器 2(JSSとの共同企画) 腎泌尿器疾患で必須な超音波所見を得るためのルーチンテクニックを探る

(S450)

腎泌尿器疾患を学ぶ現場の現状

Current status of the examination site to learn renal urological diseases

関根 智紀

Tomoki SEKINE

総合病院国保旭中央病院超音波検査室

Department of Laboratory, Asahi General Hospital

キーワード :

【はじめに】
腎泌尿器領域で超音波検査の果たす役割は大きく,その技術は施設内や学会の場で検査の精度・研究・教育が推し進められている.昨年,この学術集会の場で「腎泌尿器科疾患の診療プロセスにおける超音波検査の役割」が企画され,今年はさらに「腎泌尿器疾患で必須な超音波所見を得るためのルーチンテクニックを探る」が進められることになった.まず最初に,腎泌尿器疾患を学ぶ技師の現場の現状と問題点に触れ,次に超音波医学会と超音波検査学会に期待すること(共同企画なので)について述べてみたい.
【腎泌尿器科領域の検査現場の現状】
超音波検査士のライセンス延べ数は22104名であり,内訳は消化器領域8403名,泌尿器領域1199名である.超音波専門医は腎泌尿器科領域で約50名である(2016.1).検査現場の現状を把握するため検査技師にアンケート調査(日本超音波検査学会代議員178名(153施設)2015.1)をしたところその一面がみえてきた.例えば,Q1.院内に仕事で接する泌尿器科専門医はいますか,A1.いない98%,いる2%.Q2.泌尿器領域の指導と教育は誰がしてますか,A2.誰もいない13%,検査士51%,泌尿器検査士18%,医師10%,.Q3.院内の泌尿器領域の教育は十分ですか,A1.不十分64%,まずまず34%,十分2%.(詳細は発表時に提示).
【現場における問題点】
検査現場の問題点として,泌尿器科領域の専門医が極端に少ないこと,腹部領域の検査の多くは肝胆膵に続いて腎〜膀胱〜前立腺まで進められていること,これら検査の依頼数が多いこと,検査で悩むとき医師との接触が少なく技師同士の相談に留まること,検査技師への泌尿器科領域の教育が不十分かつ指導者がいないこと,技師のみでの学習には限界があり泌尿器科領域の専門医に教育を担当してほしい,などがあげられた.
【まとめ】
超音波検査の展開は,誰が行っても臨床側の求める情報を精度の保証のもとに提供しなければならない.この目的を達成するために検者は必須な超音波所見を得るためのルーチンテクニックを身に付けなければならない.信頼度の高い検査を全国展開するにはライセンスの取得も一案ではあるが教育体制を整えることである.今回の企画は両学術集会による共同企画である.質の高い超音波検査を将来像にするには超音波医学会と超音波検査学会の協力体制により,教育の環境,技術の習得,求める・提供する検査の教育展開を導入していただける局面が必要と考える.