Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 腎・泌尿器
パネルディスカッション 腎・泌尿器 1 副腎腫瘍の超音波診断

(S447)

副腎疾患の臨床

Medical Practice of Adrenal Tumor

奥野 博

Hiroshi OKUNO

国立病院機構京都医療センター泌尿器科

Urology, National Hospital Organization Kyoto Medical Center

キーワード :

【副腎偶発腫瘍の診断】
副腎偶発腫瘍(副腎インシデンタロ−マ:Adrenal Incidentaloma)は,人間ドックなど副腎疾患を想定せずに施行した超音波検査・CT・MRIなどの画像検査において偶然にみつかる副腎腫瘤を指す.剖検例の6%(1〜32%),腹部CT検査の4%程度でみられ,年齢とともに増加する.平成11年度より5年間継続して行われた厚生労働省「副腎偶発腫瘍の全国調査」の結果,3,678例の集計がまとまった.これによると約半数の50.8%の副腎腫瘤は非機能性で良性の副腎皮質由来の腺腫であり,10.5%がコルチゾ−ル産生腺腫であるCushing症候群/サブクリニカルCushing症候群,8.5%が褐色細胞腫,5.1%が原発性アルドステロン症,3.4%が骨髄脂肪腫,1.4%が副腎皮質癌,4.0%は転移性腫瘍であった.副腎偶発腫をみたときは,機能性(ホルモン分泌の有無)と悪性の可能性に注意を払う.
病歴や臨床所見として,体重増加・高血圧・頻脈・不整脈・耐糖能異常・骨粗鬆症,月経異常などを検討する.そして発見のきっかけとなった画像を適切に評価する.
機能性腫瘍としては,Cushing症候群/サブクリニカルCushing症候群,原発性アルドステロン症,褐色細胞腫を念頭に置いてスクリ−ニング検査を行う.安静臥床後の血中ACTH・コルチゾールを測定し,コルチゾールが正常〜高値でACTH低値であれば,Cushing症候群/サブクリニカルCushing症候群が疑われる.加えて1mgデキサメタゾン抑制試験(DST)を施行し,コルチゾールが3μg/dL以上であればコルチゾール自律産生を示す.血漿アルドステロン濃度,血漿レニン活性を測定し,アルドステロン/レニン比(aldosterone/renin ratio:ARP)が基準値を超えれば,原発性アルドステロン症を疑う.また,尿中メタネフリン・ノルメタネフリン排泄量測定し,基準値上限の3倍以上は褐色細胞腫を疑う.副腎皮質癌が疑われる場合は,DHEA-S,テストステロン,エストラジオ−ルの検査を加える.
腫瘍径3cm以上,超音波やCT・MRIで辺縁や内部が不均一あれば,副腎皮質癌の可能性を考慮する.
【臨床上重要なポイント】
・5cm以下の副腎腫瘍に対する第一選択治療法は腹腔鏡下副腎摘除術である.
・原発性アルドステロン症:CTで腫瘍が見えないのが50%ある→腫瘍がなくても否定できない⇒手術中に腫瘍が確認できなくても,切除して初めて発見⇒片側全摘が原則.
・サブクリニカルクッシング:反対側副腎の萎縮⇒術後補充療法の適否を決めるため,術前の適格な診断が必須⇒気が付かないで手術すると術後副腎不全になる可能性.
・褐色細胞腫:約10-15%は悪性,かつ初回診断時に良悪性の鑑別が付かない⇒原則として,全例悪性の可能性があると考えて,被膜損傷がないように慎重な手術が必要.術後,生涯に亘りfollow upが必要となっています.
・副腎皮質癌はまれな内分泌癌であり,初診時すでに転移を有することが多い.治療法は限局癌であれば外科的根治切除であるが,再発例も多く転移例も含めた治療は確立されておらず極めて予後不良である.近年,ミトタンによるアジュバント治療の有効性が示され,またEDP併用化学療法も一定の治療成績が報告されつつある.
・病変の大きさは腺腫と癌との鑑別の重要なポイントであり,5cm(あるいは6cm)以上の場合には副腎皮質癌の可能性が疑われる.海外における報告では4cm以下の副腎偶発腫瘍のうち2%が副腎癌であり,4〜6cmでは8%,6cm以上では25%であった.よって3〜6cmの腫瘍では良性と決めつけず,定期的(3〜12か月毎)に経過観察する必要がある.悪性腫瘍であれば,3カ月で増大することが多い.