Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 腎・泌尿器
シンポジウム 腎・泌尿器 1(一部英語) 透析腎癌や診断困難な腎腫瘤に対する造影超音波検査の有用性

(S440)

乳頭状腎細胞癌に対する造影US vs CT・MRI

Papillary renal cell carcinoma: Comparison of contrast-enhanced ultrasound versus contrast-enhanced CT-MRI

齊藤 弥穂1, 丸上 永晃2, 平井 都始子2

Miho SAITO1, Nagaaki MARUGAMI2, Toshiko HIRAI2

1医療法人新生会高の原中央病院放射線科, 2奈良県立医科大学中央内視鏡超音波部

1Department of Radiology, Takanohara Central Hospital, 2Department of Endoscopy and Ultrasound, Nara Medical University

キーワード :

【背景】
腎細胞癌の約10〜15%を占めると言われている乳頭状腎細胞癌(pRCC)は,組織学的にはtype1と2の2型に分類されており,淡明細胞癌(ccRCC)よりも予後が良好であると報告されている.腫瘍径の小さなものは境界明瞭で均一な腫瘤を形成するが,3cmを超える腫瘍では広範な壊死や出血を伴い血性の液体貯留を認める.一般に造影CT・MRIで,典型的なccRCCは多血性であり動脈相〜皮質髄質相に不均一で強い造影効果を呈するが,pRCCは乏血性で明瞭な濃染を認めず診断に苦慮することが多い.
【目的】
pRCCの造影US像を造影CT・MRIと比較して,その特徴的所見と診断への有用性を報告する.
【対象と方法】
対象は2007年から2015年に造影USを施行し,手術により組織学的にpRCCと確認された11症例で,type1:4例(腫瘍径25〜38mm),type2:7例(腫瘍径10〜75mm).うち透析症例を4例含む.超音波装置はGE LOGIQ7,LOGIQ E9を使用し,corded phase inversionモードおよびamplitude modulationモードで観察した.ソナゾイドは0.01ml/Kg体重を静注使用し,MI値は0.2程度に設定した.11例全例にCT(造影は7例),7例にMRI(造影は5例)を術前検査として実施しており,これらの画像所見と造影US所見を比較検討した.
【結果】
US所見:Bモードでは充実性腫瘍は6例,嚢胞性腫瘍4例,大きな嚢胞部と充実部の両方を含む腫瘍が1例であった.カラードプラでは辺縁と内部に一部カラー表示のあるものが8例,カラー表示をほとんど認めないものが3例であった.造影USでは全例に造影効果を認めた.造影早期像(動脈相)に注目すると,注入から15秒までに4例,15〜20秒に6例で強く染影された.評価不能が1例であった.造影60秒まで(皮質髄質相に相当)では全例に持続の造影効果を認めた.type1,2の組織型による違いは認めなかった.
萎縮のない腎に存在した充実性腫瘍は,隣接する正常腎実質より数秒遅れて染影され,造影効果も弱い傾向がみられた.透析腎で実質の萎縮が強く,嚢胞性腫瘍として捉えられる腫瘍では,嚢胞内の結節部の染影が持続した.
造影CT・MRI:type1,2の組織型にかかわらず,動脈相〜皮質髄質相での腫瘍の造影効果は乏しかった.造影CTでは30HUまでの漸増性の染影を呈しており,肉眼的には造影効果の確認が困難な例が含まれた.造影MRIでも同様の傾向を呈した.
【考察】
今回対象としたpRCCは造影CTやMRIでは乏血性腫瘍として描出されたが,造影USでは全例で早期から充実部や壁在結節部の腫瘍染影が確認でき,肉眼的にも容易に認識可能であった.これは造影CT・MRIの造影効果は血管内および血管外にしみ出た造影剤も含めた腫瘍内の濃度に比例するのに対して,造影USでは血管内に存在するソナゾイドの微小気泡を反映した染影であり検出感度が鋭敏であるためと思われた.
pRCCの半数以上で正常腎実質よりも血流の流入タイミングが少し遅く,ピークも遅れる傾向がみられたが,これは正常腎は血流豊富であるのに対し,pRCCでは腫瘍内の毛細血管が散在性に分布することが染影タイミングやパターンの違いとして反映される可能性が考えられた.
今回対象には透析導入中の4症例が含まれていたが,いずれも造影USで明瞭な早期の腫瘍濃染が確認でき,特に嚢胞性腫瘍では壁在結節の造影効果が長く持続し評価が容易であった.透析症例にはMRI造影剤の使用が禁忌であることも併せると,腎排泄性の造影剤が使用困難な症例に対して安全に繰り返し使用できる造影USの必要性は高いと考えられた.
【結論】
ソナゾイド造影USは他画像検査で濃染所見が乏しいとされるpRCCにおいても早期からの腫瘍濃染像を確認することができ,質的診断に寄与する可能性が示唆された.