Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 甲状腺
シンポジウム 甲状腺(JSUM・JABTS共同企画) 新しい甲状腺結節超音波診断基準を巡って

(S425)

甲状腺結節超音波診断基準における腫瘍縦横比(D/W)

Clinical impact of D/W ratio for thyroid US screening

福成 信博

Nobuhiro FUKUNARI

昭和大学横浜市北部病院外科系診療センター外科

Department of Surgery, Showa University, Northern Yokohama Hospital

キーワード :

【背景・目的】
超音波検査は甲状腺腫瘍の診断には欠かすことのできない検査であり,特徴的な所見を呈しやすい乳頭癌に関しては,現在の高分解能機器は微小な病変をも検出・診断が可能である.2011年に「甲状腺結節(腫瘍)超音波診断基準」は日超医用語診断基準委員会を経て承認され,現在に至っている.一方,腫瘍の縦横比(D/W)は,悪性腫瘍では有意に高く,比較的客観評価可能な超音波所見として,1980年後半より報告され,乳腺・甲状腺腫瘍の鑑別診断として臨床的現場で用いられてきた.しかしながら,現在の高分解能機器での評価は未だなされておらず,診断基準にもD/Wは導入されていない.今回,甲状腺結節において縦横比(D/W)の診断的価値を多施設共同研究として多数例対象に再検討,評価を行い,甲状腺結節(腫瘍)超音波診断基準の1項目として追加導入を目標とする.
【対象・方法】
2011年4月から2016年3月までの5年間に登録施設で超音波検査を施行後,手術により病理組織診断が確定した甲状腺結節を対象とする.
1)対象症例:甲状腺結節(腫瘍)良性,悪性を含み,病理組織型を明示できるもの.下記の症例は,本来の腫瘍形状が修飾,変形を起こしている可能性があるため,本研究から除外する
除外症例:1)再手術例 2)PEIT後 3)外照射後 4)良性のう胞性病変(のう胞部50%以上)
2)目標症例数:良性500例,悪性500例以上を目標
3)計測方法:甲状腺横断像での縦径(D1),横径(W1),縦断像での縦径(D2),横径(W2)を測定し,各々のD/W比を測定,記録する
【登録データの評価,検討課題】
集約されたD/Wのデータは以下の項目に関して,検討を行う1)登録症例の各組織型別の症例数2)良性・悪性間における有意差検定,ROC解析による閾値の設定,評価
3)病理組織型別の評価4)腫瘍径別の評価
【期待される結果】
甲状腺悪性結節ではD/Wが高く,閾値D/W>1.0は悪性を示唆する項目として有意義であり,超音波診断基準の新たな項目として妥当性を有する.