Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 乳腺
ワークショップ 乳腺(JSUM・JABTS共同企画) 乳がんに対する薬物療法の効果判定

(S419)

超音波検査による乳がん術前化学療法早期判定基準の有効性に関する研究

Ultrasound Diagnosis of the Response Evaluation for the Neoadjuvant Chemotheraphy of Breast Cancer

中島 一毅1, 角田 博子2, 北條 隆3, 小島 康幸4, 明石 定子5, 河内 伸江2, 松本 広志6, 吉田 崇7, 渡辺 隆紀8, 武井 寛幸9

Kazutaka NAKASHIMA1, Hiroko TSUNODA2, Takashi HOUJO3, Yasuyuki KOJIMA4, Sadako AKASHI5, Nobue KAWAUCHI2, Hiroshi MATSUMOTO6, Takashi YOSHIDA7, Takanori WATANABE8, Hiroyuki TAKEI9

1川崎医科大学総合外科学, 2聖路加国際病院放射線科, 3国立がん研究センター東病院乳腺外科, 4聖マリアンナ医科大学乳腺内分泌外科, 5昭和大学医学部外科学講座乳腺外科部門, 6埼玉県立がんセンター乳腺外科, 7太田記念病院乳腺外科, 8国立病院機構仙台医療センター乳腺外科, 9日本医科大学乳腺外科

1General Surgery, Kawasaki Medical School, 2Radiology, St. Luke’s Hospital, 3Breast Surgery, National Cancer Center East, 4Breast Endocrine Surgery, St. Marianne University School of Medicine, 5Breast Surgery, School of Medical Showa University, 6Breast Surgery, Saitama Cancer Center, 7Breast Surgery, Ota Memorial Hospital, 8Breast Surgery, Sendai Medical Center, 9Breast Surgery, Nippon Medical School

キーワード :

【はじめに】
術前化学療法は,術後補助化学療法が確立している疾患領域において,術前に化学療法を導入することにより,術後よりも高い治療効果が期待できるとの考え方から始められた.乳癌領域では2003年のAberdeen trialの結果から臨床試験が広まり,NSABP B-27,GEPAR-duoなどのビックトライアルの結果,生命予後では術前療法群の方が術後補助療法よりも若干良好であることが報告されたが有意差が認められず,この際のサブ解析で有意差が認められた「温存率向上」が術前化学療法の有用性とされ,徐々に実臨床現場に普及していった.その後,GEPAR-trioなどの病理学的特徴やサブタイプによる治療効果と予後予測,有効性などを評価した臨床試験が次々と報告され,「術後の予後予測因子としてのpCRをめざす」ことも目的にさらに広まってきている.現在では,術後補助化学療法が必要となる組織型(サブタイプ+進行度)では,標準的治療選択肢となっている.
しかし,切除可能な乳癌に対し,術前に化学療法を継続することは,効果が得られず腫瘍が増大する恐怖と伴うものであり,患者,医師ともに大きなストレスとなる.治療早期に有効性を確認したいと思いながら,治療を続けているのが現状であり,早期に実施できる簡便で,有効な治療効果方法が模索されている.
現在,乳癌化学療法の治療効果判定には,判断誤差を少なく客観的に評価し得るものとしてRECISTが用いられている.そして,術前化学療法における評価時期は4サイクル終了後が最も一般的である.さらにRECISTではCT,MRIなどの画像診断が推奨されており,超音波検査(以下,US)は客観的評価にかけるとの理由から治療効果評価のモダリティとしては触診の代用程度としか,推奨されていない.
JABTS BC03研究部会は,「USがMRI,CTに引けをとらない治療効果評価モダリティ」であることを証明するため,「元来,超音波検査はMRI,CTに比べ,方位分解能が高く,しかも,動的,立体的に画像評価が可能であるため,MRI,CTよりも微少な変化で評価しうる有用なモダリティである」ことを証明するため,RECIST評価方法とは異なる,形態的変化と縮小率を基本とした超音波による早期治療効果評価基準を考案した.この微小な変化をも高精度に評価しうる手法を検証するため,2サイクル終了後にUSで化学療法の治療効果評価をおこなう多施設での前向き臨床試験を計画,実施した.現在,解析中であるが,良好な結果が得られつつあるので報告する.
【対象】
対象は術前化学療法を受ける切除可能乳癌253例.研究登録は参加施設の倫理委員会の承認のもと実施された.
【方法】
腫瘍最大径と圧さ方向の長さの縮小率により,uCR(超音波での完全奏功),uPR((超音波での部分奏功),uPD((超音波での進行)と分類,さらにuPRは深部方向の縮小率,形態変化により,uPR-D(dendritic,島状遺残型),uPR-T(traction,牽引縮小型),uPR-F(flatness,偏平化型),uPR-R(reduction,限局縮小型)に分類する方法を考案した.評価は2サイクル終了後に外来,もしくは超音波検査室にて施行され,画像はすべてデータセンターに集積した.超音波評価は中央判定されたが,病理診断は施設毎に行われたものをデータとして収集した.
【結果】
uCRおよびuPR群をresponder,uNC,uPDをnon-responderとし,最終的病理学治療効果判定と比較解析した.Grade3(pCR)はresponderでは36.5%(148例中54例),non-responderでは14.3%(105例中15例)と有意にresponderが良好であった(p0.0004).
【結語】
超音波による早期治療効果評価基準はpCRの早期予測に有用であり,術前化学療法の治療効果指標としてRRECISTと同様に有効である可能性が示された.