Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 乳腺
ワークショップ 乳腺(JSUM・JABTS共同企画) 乳がんに対する薬物療法の効果判定

(S418)

術前内分泌療法における超音波検査画像所見の特徴

Characteristics of ultrasonographic findings after neoadjuvant endocrine therapy in breast cancer patients

武井 寛幸1, 山下 浩二1, 柳原 恵子1, 中井 麻木1, 鈴木 えりか1, 飯田 信也2, 蒔田 益次郎3, 横山 正4, 関 奈紀4, 坂谷 貴司5

Hiroyuki TAKEI1, Koji YAMASHITA1, Keiko YANAGIHARA1, Maki NAKAI1, Erika SUZUKI1, Shinya IIDA2, Masujiro MAKITA3, Tadashi YOKOYAMA4, Natsuki SEKI4, Takashi SAKATANI5

1日本医科大学付属病院乳腺科, 2日本医科大学千葉北総病院乳腺科, 3日本医科大学武蔵小杉病院乳腺外科, 4日本医科大学多摩永山病院乳腺外科, 5日本医科大学付属病院病理診断科

1Department of Breast Oncology, Nippon Medical School Hospital, 2Department of Breast Oncology, Nippon Medical School Chiba Hokusoh Hospital, 3Department of Breast Surgery, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital, 4Department of Breast Surgery, Nippon Medical School Tamanagayama Hospital, 5Department of Diagnostic Pathology, Nippon Medical School Hospital

キーワード :

乳癌の術前内分泌療法による病理組織学的変化として,Thomasらは,術前化学療法との比較において,腫瘍の中心部瘢痕がおこりやすい,腫瘍が高分化に変化することが多いと報告した(Histopathology 2007;51:219-226).腫瘍中心部の瘢痕は治療後の手術標本を用いて解析された結果であり,化学療法後と比較して明らかに多くの症例で認められる変化であった.この変化は,腫瘍の中心部において乳癌細胞がアポトーシスを起し,その部位に瘢痕化が生じるものと考えられる.一方,術前内分泌療法により腫瘍がより高分化へ変化するということは,治療前の針生検標本と治療後の手術標本とを比較し解析された結果であり,エストロゲンのシグナル伝達の抑制により誘導されると考えられる.術前内分泌療法によるこれらの病理組織学的変化は超音波検査においてどのような画像所見として反映されるのであろうか.
腫瘍の中心部に瘢痕化がおこることにより,超音波検査では腫瘤内部エコーの均質性が低下し,エコーレベルが上がるという画像所見に反映されると推察される.一方,腫瘍が高分化に変化することは正常の乳管上皮の形態に近づくことであり,腫瘍と正常組織との病理組織学的違いが小さくなることである.超音波検査ではこの変化は腫瘤と正常組織の境界不明瞭という画像所見に反映されると推察される.この画像所見を言い換えると,境界部高エコー(ハロー)の減弱・消失ということになる.ところで,術前内分泌療法の効果が認められた場合,腫瘍は中心部瘢痕を呈しながら,中心に向かって縮小することが多いと考えられる.超音波検査ではこの変化は腫瘤の形態が比較的保たれながら縮小するという画像所見に反映されると推察される.
以上,術前内分泌療法による病理組織学的変化を反映する超音波検査画像所見の推論を試みた.実臨床での術前内分泌療法施行症例において,治療前後の超音波検査画像を比較し,上記に示した特徴的所見を呈していることが確認された.