Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 乳腺
パネルディスカッション 乳腺 2(JSUM・JABTS共同企画) 乳房超音波検査は病理組織診断にどこまで迫れるか

(S414)

浸潤性小葉癌における超音波所見と病変の範囲に関する検討

Comparison ultrasound findings and pathological findings about invasive lobular carcinoma

伊藤 吾子

Ako ITOH

株式会社日立製作所日立総合病院乳腺甲状腺外科

Department of Breast and Thyroid Surgery, Hitachi General Hospital

キーワード :

【はじめに】
浸潤性小葉癌の典型的な超音波所見は後方エコーの減弱した不整型低エコーであるが,その他多彩な像を示す.また,超音波やMRI等画像上の範囲よりも,病理学的な範囲が思いのほか広いこともあり,診断および術式の決定に苦慮することがある.
今回我々は浸潤性小葉癌における超音波所見と,病理組織学的範囲について検討した.
【対象】
2009年5月から2015年12月に当院にて手術施行した浸潤性小葉癌51例(期間中全手術959例の5.3%)のうち術前化学療法を行った8例を除いた43例.36-84歳(平均60.3歳).
【方法】
超音波画像を見直し所見を①従来型(境界不明瞭な低エコー域,後方エコー減弱),②非腫瘤型(①以外の非腫瘤病変),③硬癌型(境界部高エコー帯を伴う不整型腫瘤),④腫瘤型(③以外の腫瘤)の4つに分類した.超音波での最大径と病理学的浸潤径を比較し,その差が20mmを超えたものの超音波所見,病理学的特徴について検討した.使用機器は日立アロカメディカル社製Preirus L65, Ascendus L75,全例Color Doppler,RTEを併用している.
【結果】
従来型;14例(32.6%),非腫瘤型;4例(9.3%),硬癌型;13例(30.2%),腫瘤型;12例(27.9%)であった.RTE所見はScore5;39例,Score4;2例,Score3;2例であった.Score3の2例は腫瘤型で血流が豊富であった.初回術式は乳房切除17例,部分切除26例であり,部分切除のうち3例に再手術(乳房切除2例,追加部分切除1例)を行った.
超音波での腫瘍径と病理学的浸潤径の差は9mm以下;27例,10-19mm;8例,20mm以上;8例であった.20mm以上であった8例は従来型;6例,非腫瘤型;1例,硬癌型;1例であった.病理形態学的にこれらは古典型を示した.
【考察】
E-カドヘリンの免疫染色により,浸潤性小葉癌と診断される症例は増加傾向にある.その病理形態は古典型,充実型,胞巣型,混合型など多彩であり,腫瘍細胞と間質,正常乳腺との配列や増殖形態から多彩な超音波像を示す.従来型,硬癌型は形態と硬さから,小葉癌(または硬癌)との診断は容易である.非腫瘤型,腫瘤型は硬さ,血流から癌が鑑別に挙がり,確定診断には針生検を選択することになる.血流,硬さ情報の併用により,浸潤性小葉癌の感度は上昇している.いずれも針生検にて小葉癌との診断がつけば,術前にMRI等の後,second look USにて病変の広がりおよび切除範囲を再確認する必要がある.特に従来型,非腫瘤型は超音波における低エコー域よりも,浸潤径が広い可能性が高いため注意が必要である.また,浸潤性小葉癌は広範な非浸潤成分を伴っていることがあるが,これをを超音波で描出することは難しいことも念頭に置く必要がある.
【結語】
血流,硬さ情報を併用することで,超音波で浸潤性小葉癌であるという診断には迫れるが,病変の範囲の確定は難しい症例もある.