Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 乳腺
パネルディスカッション 乳腺 2(JSUM・JABTS共同企画) 乳房超音波検査は病理組織診断にどこまで迫れるか

(S413)

組織像でリング状形態を示す乳癌の超音波像

Ultrasonographic findings of breast cancer with ring-like appearance on histology

森田 道1, 6, 山口 倫1, 5, 田中 眞紀2, 水島 靖子3, 平井 良武4, 山口 美樹2, 大塚 弘子2, 江口 晋6, 矢野 博久5

Michi MORITA1, 6, Rin YAMAGUCHI1, 5, Maki TANAKA2, Yasuko MIZUSHIMA3, Yoshitake HIRAI4, Miki YAMAGUCHI2, Hiroko OTSUKA2, Susumu EGUCHI6, Hirohisa YANO5

1久留米大学医学部附属医療センター病理診断科, 2JCHO久留米総合病院外科・乳腺外科, 3久留米大学医学部附属医療センター臨床検査室, 4JCHO久留米総合病院臨床検査科, 5久留米大学医学部病理学講座, 6長崎大学大学院移植・消化器外科

1Department of Pathology, Kurume University Medical Center, 2Department of Surgery, JCHO Kurume General Hospital, 3Department of Laboratory Medicine, Kurume University Medical Center, 4Department of Laboratory Medicine, JCHO Kurume General Hospital, 5Department of Pathology, Kurume University School of Medicine, 6Department of Surgery, Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences

キーワード :

組織像でリング状形態を示す乳癌の代表には,化生癌の亜型である基質産生癌(matrix-producing carcinoma, MPC)や中心無細胞域を伴う癌(central acellular carcinoma, CAC)がある.両者は通常,高異型度で筋上皮系,basal-likeへの分化を示す予後不良な癌であり,特にCACは肺・脳転移を来しやすいと報告されている.しかしながら,その多くが圧排性増殖を示すため,マンモグラフィや乳房超音波検査では比較的境界明瞭な腫瘤として描出され,しばしば良性腫瘍と混同されやすく,カテゴリー3として分類されることも多い.超音波所見上で,MPCやCACといった予後不良の腫瘍を圧排増殖する良性腫瘍から鑑別同定することが可能となれば,以降の診断方針・治療方針の決定に与える意義は大きい.組織学的に,MPC,CACはともに癌細胞が腫瘍の辺縁に位置し,中心域は細胞成分に乏しく,内部に微細な線維成分が混在する粘液様間質から構成されるため,腫瘍全体としてリング状,ドーナツ状構造を呈する.一方,良性腫瘍の代表である線維腺腫や葉状腫瘍では,リング状構造を示すことは稀であり,MPCやCACとは明らかに異なる.したがって,超音波所見でこのようなリング状組織構造を捉えることが可能であれば,良性腫瘍と高異型度癌との鑑別が可能となると考える.
以前われわれは,MPCおよびCACの組織像の詳細(すなわち,癌細胞域径/腫瘍径に占める癌細胞域径の割合,無細胞域面積/腫瘍面積のうちの無細胞域の面積割合,形状,腫瘍境界,増殖形態など)と超音波検査上での腫瘍径,D/W比,形状,境界の性状,内部エコー,後方エコー,周辺の所見を評価し,相互に検討した.その結果,MPC,CACともに腫瘍は比較的膨張性の発育をすることから,圧排性,楕円形,分葉状に増殖する低エコー腫瘤として描出されるた.中心無細胞域は微細な線維成分や基質の存在により超音波の後方散乱を来すため,腫瘍内部中心部は不均一な高エコーとなりを示し,辺縁の低エコー部とのコントラストから超音波でもリング状構造を反映するとして捉えられた.また腫瘍内部中心域は粘液状浮腫状成分から構成されるため,超音波の減衰が少なく,後方エコーが増強していた(Yamaguchi R et al. Med Mol Morphol 2011).
今回は,それらの結果をふまえ,良性腫瘍(D/W比高度が大きくなるのmyxomatous FA;間質が粘液浮腫状変化を来す線維腺腫や葉状腫瘍など)との鑑別にポイントを置き,組織像から考える超音波像での所見の差異について報告する.