Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム 産婦人科 3 胎児診断における3D/4D超音波の活用について

(S380)

胎盤辺縁の異常血流に対する3D超音波検査で分娩時大量出血は予測できるか?

Can 3D ultrasonography for abnormal flow in placental margin predict massive hemorrhage at delivery?

塩崎 有宏, 米田 徳子, 米田 哲, 斎藤 滋

Arihiro SHIOZAKI, Noriko YONEDA, Satoshi YONEDA, Shigeru SAITO

富山大学産科婦人科

Obstetrics and Gynecology, University of Toyama

キーワード :

【はじめに】
妊娠分娩中の大量出血の原因として常位胎盤早期剥離および前置胎盤が知られているが,それら以外の原因の一つとして胎盤辺縁洞破裂による出血がある.今回,妊娠中の胎盤辺縁の異常血流を認め,経腟分娩直後に大量出血となった症例を経験した.胎盤辺縁洞の異常血流の成因は不明であるが,辺縁洞出血の報告例とは異なる所見を認めた.
【症例】
36歳,1回経産婦.妊婦健診での使用装置はGE社製E8/S8,探触子は経腹3D/4Dプローブ(RAB2-5-D),経腟2Dプローブ(E8C),経腟3D/4Dプローブ(RIC5-9W-RS)を用いた.妊娠18週,後壁付着の胎盤下縁が内子宮口に騎乗し,その内部に胎児面から母体面に向かってU字状に迂回する血流(4cm/秒)を認めた.血流の立体構造を調べるために妊娠20週で3D超音波検査を施行したところ,胎盤辺縁には全体の厚さが約28mmで,内部中央の隔壁を境界として方向が逆の2層をなす血流を認めた.厚さ14mmの胎児面血流は胎盤辺縁に向かって流れ,Uターンした後に厚さ14mmの母体側血流として胎盤中心部に向かって流れていた.胎盤下縁は妊娠28週から内子宮口から離れはじめ,32週で前置胎盤は否定できた.血流速度は妊娠25週では5cm/秒,32週では6-8cm/秒と次第に速くなり,母体心拍数に一致した拍動を伴っていたことから,胎盤辺縁洞を疑った.血流の範囲が拡大したものの,出血がないため,経腟分娩可能と判断した.妊娠39週破水入院するも微弱陣痛となり,陣痛促進後に吸引分娩(3520g,女児,アプガー7点/9点)となった.胎盤娩出は不良で出血が多いため用手剥離を行った(分娩時総出血量1505g).娩出された胎盤辺縁の病理学的検査では巨大な血管構造を認めず,子宮復古と共に出血は軽快した.
【考察と結語】
妊娠中あるいは分娩時の大量出血の原因の一つとして,辺縁洞からの出血が報告されてきているが,多くは少量であり,娩出された胎盤の辺縁を環状に走行する管状構造物の破綻による出血と考えられている.妊娠経過中に胎盤辺縁に広範囲の血流が存在する場合には,3D/4D超音波を用いることで従来の2D超音波では表示できない胎盤内の血流の空間認知が瞬時に可能となる.妊娠中期までに胎盤辺縁に広範囲にわたる大量の血流が確認できれば,分娩時の大量出血を予測できるかもしれない.