Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム 産婦人科 3 胎児診断における3D/4D超音波の活用について

(S379)

3D skeleton renderingを用いた立体画像構築の胎児消化管疾患への応用

Novel application of three-dimensional skeleton rendering image in prenatal diagnosis of fetal gastrointestinal atresia

須波 玲

Rei SUNAMI

山梨県立中央病院総合周産期母子医療センター母性科

Obstetrics and Gynecology, Yamanashi Prefectural Central Hospital

キーワード :

【目的】
超音波検査における3D表示には幾つかの手法があるが,volume contrast imagingでは,得られた情報の目的部分のみを強調した画像構築が可能である.胎児の体内に貯留した液体は,表示したい境界全体が広範囲にかつ明瞭に分離されるため3D surface renderingと同様に病変部を全体にわたって立体的に観察することが可能である.3D skeleton renderingを利用した画像表示の条件設定を行うことで,胎児消化管閉鎖で複雑に拡張した腸管の全体像の立体画像構築が可能か否かについて検討する.
【対象】
通常の2D超音波検査で先天性消化管閉鎖と診断された胎児を対象として以下の検討を行った.
【方法】
2D超音波検査で表示対象が減衰の影響を受けずに全体にわたって表示可能な断面を決定する.表示対象のみを網羅する最小角度での3D volume data samplingによって画質を保持した最短時間でのデータ収集を行った.骨格の表示に用いるskeleton renderingで胎児骨格を描出して病変の相対的な位置を把握したうえで,体内の中空構造を表示すべくsampling data内の最小のグレー値を表示する条件での3D画像構築を行った.
【結果】
低輝度部分のみを強調すべく条件設定することで,造影レントゲン検査に近似した胎児消化管疾患の3D画像が得られた.プローブと対象部位全体との間に十分な羊水が存在する位置で,volume data samplingの角度を変えて複数回の検査を行うことで,前後左右といった目的とする方向からの明瞭な3D画像を得ることが可能であった.
【結論】
3D skeleton renderingを応用した立体画像構築によって,体内に貯留した液体部分を中空構造のごとく明瞭に3D表示することが可能であった.胎児消化管疾患に用いることで,消化管造影検査に匹敵する複雑な立体構造を全体にわたって3D表示することが可能となり,2D超音波検査を補完する有力な検査法になると考えられる.