Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム 産婦人科 3 胎児診断における3D/4D超音波の活用について

(S378)

4次元電子プローブを用いた胎児心臓超音波検査の有用性について

The usefulness of fetal heart ultrasound examination using a four-dimensional electron probe

松岡 隆, 関沢 明彦

Ryu MATSUOKA, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学医学部産婦人科学講座

Showa University School of Medicine, Department of Obstetrics and Gynecology

キーワード :

【目的】
3D/4D超音波検査は,その圧倒的な表現力とは裏腹に診断・検査の有用性を示すことが難しかった.その理由に,2Dプローブのスイープにより得られる3Dボリュームデータを多断面や,STIC法で表現するは全てoff lineでありreal timeに検査することが出来ない事が挙げられる.近年開発された4次元電子コンベックスプローブは直交する2断面を一画面上でreal timeにB modeのみならずcolor modeでも描出を可能にし,新たな応用が期待されている.一方,胎児心臓超音波検査は,B modeに加えcolor, power modeを用いて観察することで,構造異常だけでなく逆流や狭窄,中隔欠損を見つけることが出来るが,その複雑な立体構造がゆえ,オリエンテーションに迷い,なかなか正確な断面を描出する事ができない.そこで,4次元電子コンベックスプローブを用いた胎児心臓超音波検査は有用かどうかを目的に本研究をおこなった.
【対象】
当施設で健診中の妊婦14名
【方法】
妊娠18-20wの中期精密超音波検査で行う胎児心臓超音波検査を2Dプローブと4次元電子コンベックスプローブを用いて行った.それぞれにおいての検査時間(正確な四腔断面を規定してから全断面描出終了まで)と断面描出率を比較した.検者は1名,使用器機:volson E10,使用プローブ:RM6CおよびeM6CAC(Bi-plane),観察断面は4CV,3VV,2VTV,Ao/Ductal arch,PV(Bmode, HDflow), IVC-RA-SVC-DV,房室弁流入・流出路(color)心室中隔長軸・短軸(color)
【結論】
RM6CおよびeM6Cの検査時間(秒)は238±125vs183±34で有意差はなかった.断面描出率はRM6C:100%,eM6C:92%(arch view不十分が一例)であった.4次元電子コンベックスプローブの形状の為,充分にプローブをローテーション出来なかったことが原因と考えられた.Bi-planeを用いるとプローブを動かす事無くオリエンテーションに基づいた直交する断面(arch viewを正確に描出すること)が可能となり,大きくプロービングする事無く目的のviewを得ることが出来る.eM6Cで検査時間のばらつきが少ないのはそこに起因していると思われた.また心室中隔を観察する場合もBi-planeは平面を一度に観察する事が出来るためVSDの発見に有用なツールと考えられる.以上より,胎児心臓超音波検査に於いてreal timeに直交断面を描出できる4次元電子コンベックスプローブは有用なツールと考えられた.