Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器 Joint(JSUM・AFSUMB Joint Session)(English) びまん性肝疾患の超音波診断

(S364)

SWEとAt-PIを用いたC型慢性肝疾患の線維化診断の試み

Usefulness of GE-Shear wave Elastography and At-PI in Evaluating the Degree of Liver Disease Progression in Chronic Hepatitis C Infection

和久井 紀貴, 松清 靖, 住野 泰清

Noritaka WAKUI, Yasushi MATSUKIYO, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

現在,慢性肝疾患の線維化診断に対する非侵襲的な測定法としてUSを用いた肝硬度を画像化・数値化する様々な手法が開発され応用されている.GE社製US装置にも2012年12月から主に心拍動を利用したstrain elastography(S-Map)が搭載された.その後2014年12月からShear wave Elastography(SWE)が製品化され,また造影剤を用いた肝病期進展度診断ツールとしてarrival time parametric imaging(At-PI)が開発され2015年11月に搭載された.その3つの超音波ツールの一つであるS-Mapを用いて,以前我々はC型慢性肝疾患(CCH)の線維化診断における有用性を報告した(日本超音波医学会第88回学術集2015年5月).
【目的】
今回,我々はCCHの線維化診断におけるSWEとAt-PIの有用性を明らかにする.
【方法】
対象は2014年12月から2015年10月までにSWEとAt-PIを施行し得たCCH 44例.C型肝炎の評価は1年以内に肝生検を行い病理組織学的に診断がなされているものとした.超音波検査はGE社製LOGIQ E9 XD clearとC1-6プローブを使用した.1)SWEの測定法:右肋間からプローブを肋間に垂直に当てROIを肝表から垂直に1-2cmの深さに設定し測定を開始.計6回測定を行い,その中央値(m/s)を算出した.2)At-PIの測定法:推奨量のSonazoid®を静注し肝S5-6領域と右腎臓の染影動態を40秒間動画で記録した.記録した動画から,右腎染影開始を0基点とした肝全体のarrival timeの平均値を算出した.超音波検査後,肝生検で得られたFibrosis stageとSWE,At-PIで得られた結果を比較し,その差異について検討した.またROC曲線を描き,SWE,At-PIによる線維化診断能について検討した.肋間が狭い等で肝臓の描出が困難な症例,心疾患と有腹水症例は対象から除外した.本研究は院内倫理委員会の承認と患者の同意を得て行った.
【成績】
SWEを用いた検討の結果,F0-1 VS 2以上のAUROCは0.85,F4以上のAUROCは0.93であった.At-PIではF0-1 VS 2以上のAUROCは0.81,F4以上のAUROCは0.88であり,At-PIと比べSWEはF2以上の診断能が良好であった.F4の診断能はAt-PI,SWEともに良好であった.
【結語】
C型慢性肝疾患におけるGE社製超音波装置に搭載されたSWEとAt-PIを用いた評価は,その線維化診断に利用できる可能性がある.