Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器 2 超音波による炎症性腸疾患の診断(一部英語)

(S355)

炎症性腸疾患における造影超音波の有用性

Usefulness of contrast-enhanced ultrasonography for patients with inflammatory bowel disease

眞部 紀明1, 畠 二郎1, 石井 学2, 河合 良介1, 今村 祐志1, 楠 裕明3, 春間 賢4

Noriaki MANABE1, Jiro HATA1, Manabu ISHII2, Ryosuke KAWAI1, Hiroshi IMAMURA1, Hiroaki KUSUNOKI3, Ken HARUMA4

1川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波), 2川崎医科大学消化管内科学, 3川崎医科大学総合臨床医学, 4川崎医科大学附属川崎病院総合内科学2

1Division of Endoscopy and Ultrasonography, Department of Clinical Pathology and Laboratory Medicine, Kawasaki Medical School, 2Division of Gastroenterology, Department of Internal Medicine, Kawasaki Medical School, 3Department of Health Care Medicine, Kawasaki Medical School, 4Department of General Internal Medicine 2, Kawasaki Medical School Kawasaki Hospital

キーワード :

【緒言】
炎症性腸疾患(IBD)は,内科的治療の進歩に伴い,再燃時に早期に治療介入をすれば高いレベルでの寛解維持が望める様になった.そのためIBD診療では,再燃を早期発見することが重要と考えられる.非侵襲的に繰り返し検査可能な体外式超音波検査(US)は,その良い適応と考えられるが,長期経過例では病変が修飾されていることがあり,壁肥厚や層構造の評価のみでは病勢の把握が必ずしも十分とは言えない場合がある.消化管壁の微細循環は炎症に伴い鋭敏に変化することからIBDの病勢把握に有用と考えられ,造影超音波(造影US)の同疾患への臨床応用が期待されている.本ワークショップでは,IBDの代表的疾患であるクローン病および潰瘍性大腸炎の活動性評価に対する造影USの有用性について,我々の検討結果をもとに解説する.なお,消化管に対する超音波造影剤の使用は保険適用外であり,院内の倫理委員会の承認および患者からのinformed consentを得て検査を施行している.
【造影USによるクローン病の活動性評価】
活動期クローン病70例(男性45例,平均年齢32才)に対して造影US(Levovistを用いたHarmonic flash echo imaging)を施行し,その後の臨床経過との関連性を検討した.対象は臨床経過に従い保存的治療で治癒した45例と外科的治療を要した25例の2群に分けわれた.臨床上の各種パラメータ(性,年齢,body mass index,血液検査所見,Crohn’s disease activity index)は2群間に有意差を認めなかったが,Bモード上の層構造評価および造影USによる消化管壁の微細血流の多寡に有意差を認めた.造影USは,活動期クローン病の臨床経過予測に有用であると考えられた.
【造影USによる潰瘍性大腸炎の活動性評価】
潰瘍性大腸炎47例(男性34例,平均年齢46才)に対して造影US(Sonazoidを用いたlow-MI harmonic imaging)を施行し,消化管壁の微細血流の多寡およびその血流動態と活動性との関連を検討した.対象は寛解期14例と活動期33例の2群に分けられ,USパラメータ(壁厚,層構造,血流の多寡)に有意差を認めた.その後の臨床経過により活動期33例は保存的治療で治癒した23例と手術治療を要した10例に分けられた.血流の多寡については2群間に差を認めなかったが,壁内の染影が最大輝度に到達するまでの時間は,保存的治療群で37.3±26.2 sec,手術治療群で19.3±3.5 secと手術群で短縮した傾向にあった.さらに保存的治療で治癒した症例は経過とともに72.53±16.4 secと延長が見られ,寛解期のそれに類似した値となった.造影USは,潰瘍性大腸炎の活動性評価のみならず経過観察に有用であると考えられた.
【問題点】
low-MI harmonic imagingはHarmonic flash echo imagingに比較して分解能が高く,血流動態をリアルタイムに観察できるが,粘膜下層の高エコー帯において組織からの信号と超音波造影剤からの信号を分離する事が困難な場合があり,amplitude modulation法の使用も考慮されるべきである.
【結語】
現時点では幾つかの改善すべき点が存在するもの,クローン病および潰瘍性大腸炎の活動性評価および臨床経過予測に対して,造影USは有用である.