Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器 2 超音波による炎症性腸疾患の診断(一部英語)

(S354)

市中病院における炎症性腸疾患に対する超音波検査の現況

Sonographic diagnosis of inflammatory bowel disease in a daily practice setting

神野 大輔

Daisuke KAMINO

済生会広島病院内科

Internal Medicine, Saiseikai Hiroshima Hospital

キーワード :

発表者の勤務する病院は,県庁所在地の隣町にある中規模病院である.消化管の炎症性疾患を有する患者におけるIBDの割合はそれほど高くなく,軽症から中等度のIBDは対応可能であるが,重症患者は近隣の専門病院へ紹介することが多い.当院におけるIBD患者に対する超音波検査の現状から,市中病院における超音波検査の役割について考えてみたい.
【IBD患者の超音波検査件数はどのくらいか?】
潰瘍性大腸炎,クローン病を代表とする炎症性腸疾患(IBD)の患者数は近年顕著に増加している.そのため以前よりもIBD患者を診療する機会が増えているように感じている.しかしIBD診療は年々高度化,専門化してきており,専門医への患者の集中も予想される.当院での2014年1月から2015年12月までの2年間でIBDの超音波件数は27件(潰瘍性大腸炎14例,クローン病13例)だった.これは腹部エコー全体の0.55%(27/4905),小腸,大腸の炎症性疾患の15.1%(27/179)を占めた.検査の絶対数の年次推移を見るとわずかではあるが増加傾向にあった.
【IBDを超音波でどのように診断しているか?】
IBD診断における画像検査の中心は消化管内視鏡および消化管造影検査である.
これらの検査は消化管粘膜の微細な構造変化を捉えることができ,その所見は診断基準に盛り込まれている.超音波検査はこれらの検査ほどは粘膜の変化を詳細に捉えることが難しいため,他のアプローチによる診断を行う必要がある.またIBDは慢性の経過をたどり,初発時には確定診断に至らず,診断に時間がかかることもある.急性の炎症性の消化管疾患の中からIBDを拾い上げるために,どのような点に注意しているかについて,経験した症例を提示する.
【IBD患者のフォローアップに超音波を用いているか?】
USはその低侵襲性から,繰り返して検査を行うことへの抵抗が低く,フォローアップ検査に向いていると考えられる.2014年1月から2015年12月までの2年間に腹部超音波検査を施行したIBD患者14名(潰瘍性大腸炎8名,クローン病6名)のうち,フォローアップ目的で超音波検査を施行したのは10例(71.4%)と高率だった.フォローアップ中に狭窄,瘻孔,癌など様々な合併症が出現してくるが,超音波は合併症の描出に有用である.
【まとめ】
IBD患者に超音波検査を行うことは専門病院でなくても珍しくはない.IBDの診断,フォローアップに超音波検査は有用である.