Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器 1(一部英語) 慢性膵炎の超音波診断

(S351)

Virtual Touch Quantification(VTQ)法による膵腫瘤性病変の診断

Usefulness of Virtual Touch Quantification for the diagnosis of solid pancreatic lesions

工藤 悠輔1, 2, 西田 睦1, 2, 佐藤 恵美1, 3, 井上 真美子1, 2, 表原 里実1, 2, 岩井 孝仁1, 2, 三神 大世4, 渋谷 斉2, 加畑 馨2, 清水 力2

Yusuke KUDO1, 2, Mutsumi NISHIDA1, 2, Megumi SATO1, 3, Mamiko INOUE1, 2, Satomi OMOTEHARA1, 2, Takahito IWAI1, 2, Taisei MIKAMI4, Hitoshi SHIBUYA2, Kaoru KAHATA2, Chikara SHIMIZU2

1北海道大学病院超音波センター, 2北海道大学病院検査・輸血部, 3北海道大学病院放射線部, 4北海道大学大学院保健科学研究院

1Diagnostic Center for Sonography, Hokkaido University Hospital, 2Division of Laboratory and Transfusion Medicine, Hokkaido University Hospital, 3Department of Radiological Technology, Hokkaido University Hospital, 4Faculty of Health Sciences, Hokkaido University

キーワード :

【背景・目的】
肝線維化診断において,超音波エラストグラフィの一種である,Virtual Touch Quantification(VTQ)法の有用性が多数報告されている.VTQ法は乳腺や甲状腺の腫瘤性病変の鑑別診断にも応用されているが,膵腫瘤性病変に関する報告は少ない.今回は,VTQ法で膵腫瘤性病変の硬度を測定し,診断における有用性を検討した.
【対象・方法】
対象は2014年4月から2015年12月に各種画像検査で膵臓に腫瘤性病変を指摘され,体外式超音波検査を施行した25例.疾患内訳は膵管癌13例,神経内分泌腫瘍(NEN)8例(G1:5例,G2:3例),転移性膵腫瘍(腎細胞癌)4例,対照は健常人30例に施行した.装置はシーメンス社製ACUSON S2000,探触子は4C1プローブを用いた.組織の硬度はVTQ法により,剪断弾性波伝搬速度Vs値〔m/s〕として算出した.検者は患者群に対し超音波検査経験年数6年の検者Aと30年の検者Bが施行.健常者群は検者Aが施行.VTQ法撮像方法は患者群ではB modeで病変を同定し,病変を画面の中央に描出,ROIは明らかな嚢胞性領域を避け,充実性部分に設定した.健常群は膵臓の頭部,体尾部をそれぞれ矢状断,水平断で描出し実質から逸脱しないように,実質が広く描出される部位に設定した.各々同一部位でVs値の10回の有効測定値が出るまで計測.評価には中央値を用いた.検討項目は①健常人膵実質,各膵腫瘤性病変のVs値の差,②膵管癌と神経内分泌腫瘍のVs値に影響を与える因子として,年齢,性別,腫瘍径,存在深度,嚢胞変性の有無とした.統計学的解析は①にはone-way ANOVA,②にはPearsonの相関係数,Student’s t-testを用い危険率(p)<0.05を有意と判定した.
【結果】
①健常人膵実質のVs値は頭部矢状断,水平断,体尾部矢状断,水平断いずれの部位と断面においても有意差はみられなかった(1.09±0.60m/s,1.01±0.54m/s,1.01±0.35m/s,1.01±0.28m/s).膵腫瘤性病変では膵管癌とNENの間に有意差はみられなかった(3.02±0.91m/s vs 2.27±1.17m/s).膵管癌と転移性膵腫瘍では有意差を認めた(3.02±0.91m/s vs 1.59±0.90m/s,p<0.001).健常人膵実質はいずれの部位においても膵管癌と有意差を認めた(p<0.001).②膵管癌のVs値に有意な影響を与える因子はなかったが,存在深度に依存し,Vs値が低くなる傾向があった(r=-0.46),NENのVs値は年齢と有意な相関があり(r=0.78,p<0.05),嚢胞変性がある病変でVs値が低い傾向があったが,有意差はなかった(1.02±0.11m/s vs 2.69±1.05m/s).
【考察】
膵管癌のVs値は,NENより高い傾向にあり,転移性膵腫瘍より有意に高かった.線維化の多寡などを反映している可能性が考えられた.また,健常人膵実質のいずれの部位よりも有意に高く,存在診断に有用であると考えられた.膵管癌で存在深度に依存し,Vs値が低くなる傾向にあった要因としては,プッシュパルスや検出波の減衰が考えられた.NENでは65歳以上の高齢者でG2病変が多く(2/3),Vs値とグレードの関連を否定出来ないと考えられた.一方,G2病変でも嚢胞変性の有るものはVs値が低く,Vs値はB modeで評価可能な腫瘤の特徴に依存する可能性があり,このような症例ではVTQ法の付加価値はさほど高くないことが示唆された.
【結語】
膵管癌は他の腫瘤性病変,健常人膵実質よりVs値が高く,VTQ法は膵腫瘤性病変の鑑別診断,膵管癌の存在診断に有用である可能性が示唆された.