Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器 1(一部英語) 慢性膵炎の超音波診断

(S351)

慢性膵炎と膵癌の鑑別における造影超音波検査の検討

Study of contrast-enhanced ultrasonography in differential diagnosis of chronic pancreatitis and pancreatic cancer

橋本 千樹, 吉岡 健太郎, 西川 徹

Senju HASHIMOTO, Kentaro YOSHIOKA, Toru NISHIKAWA

藤田保健衛生大学肝胆膵内科

Liver, Biliary Tract and Pancreas Diseases, Fujita Health University

キーワード :

【目的】
ソナゾイド®による造影超音波検査は血流評価に優れた検査法の一つであるが,膵疾患の診断にはソナゾイド®による造影超音波検査は保険適応となっていない.今回我々は当院の倫理委員会の承認を得て慢性膵炎と膵癌の鑑別診断における造影超音波検査の有用性を検討した.
【対象と方法】
Bモードで2007年1月から2015年12月までに体外式超音波Bモード画像で慢性膵炎を疑ったが,膵癌との鑑別のため造影超音波検査(CEUS)を施行した30例を対象とした.主な使用機種はGE社製LOGIQ E9で,超音波造影剤ソナゾイド®0.01ml/Kgを静注後,5分まで病変部を観察した.プローブはC1-5,または9Lを使用した.生検,手術病理所見や他の画像診断所見,臨床経過で最終診断した.Bモード画像所見,造影超音波所見と最終診断を比較し鑑別診断能につきレトロスペクティブに検討した.なお造影超音波検査は当院の倫理委員会の承認を得て患者の同意を得て行った.
【成績】
Bモード画像所見では,閉塞起点不明な膵管拡張例:13例,腫瘤形成:17例であった.膵管拡張例13例中3例(23%)が最終診断は膵癌であった.うち1例はCEUSで腫瘍が描出可能であった.腫瘤形成17例中CEUSで周囲膵組織とisovascularity:13例,hypovascularity:2例,無染影:2例であった.最終診断が膵癌であった症例はisovascularityで1例(8%),hypovascularityで2例(100%)であった.
【考察】
CEUSは慢性膵炎と膵癌の鑑別診断に有用である.特に閉塞部の不明な膵管拡張やhypovascularityな腫瘤がある場合は膵癌の存在を疑い検査をすすめていく必要がある.
【結論】
ソナゾイド®を用いた造影超音波検査は,簡便で副作用の少ない安全な検査法である.慢性膵炎と膵癌の鑑別においても,造影効果を評価できることより鑑別診断に有用と考える.