Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション 消化器 Joint2(JSUM・AFSUMB・ACUCI Joint Session)(English) 肝癌診療における造影超音波診断

(S344)

Parametric Imagingによる肝細胞癌悪性度評価

Parametric Imaging to estimate HCC malignancy

工藤 篤1, 田中 真二2, 田邉 稔1

Atsushi KUDO1, Shinji TANAKA2, Minoru TANABE1

1東京医科歯科大学肝胆膵外科, 2東京医科歯科大学分子腫瘍医学

1Hepatobiliary Pancreatic Surgery, Tokyo Medical and Dental University, 2Molecular Oncology, Tokyo Medical and Dental University

キーワード :

【背景】
超音波造影剤の到達時間をcolor mappingで解析する新技術Arrival-time Parametric Imaging(ATPI)が開発され,この新技術がHCCの悪性度診断に有用であるか否かを検討した.
【方法】
2006年4月から2014年12月までに術中造影超音波検査(TOSHIBA Xario200を使用)が施行された症例を対象とし切除標本の病理診断を予測できる因子を検討した.PIの解析ソフトはCommune.ver6を使用した.ROIのcolor-mappingをS=1-exp(-t/T)により近似し,時定数Tを求め,肝臓の組織評価や肝細胞癌の悪性度を予測することができるか否かを検討した.Vascular Imageで撮影された背景肝に主要脈管から離れた位置で径1cmのROIを設定しT値を算出した.
【結果】
ATPIにより解析可能な画像は93症例で,Vascular Imageが60症例であった.年齢の中央値は70歳,男性42人,HCV,HBVはそれぞれ28例,8例に陽性だった.繊維化度はF0:11例,F1: 4例,F2: 6例 F3: 5例 F4:31例であった.ROC解析を行ったところ,F4とF1〜3を識別するT値,APRI,血小板数,ICG-R15,Fib4のAUROCはそれぞれ0.752(P=0.001),0.709(P=0.008),0.706(P=0.008),0.695(P=0.014),0.671(P=0.03)であった.Child-Pugh scoreは0.575(P=0.077)であった.F numberと最も高い相関を示したのは新定数T値で,相関係数が-0.523(P<0.0001)であった.Child-Pugh scoreとT値の相関係数は-0.287(P=0.026)であった.また,Micro Flow Imageで撮影された肝細胞癌(33症例)では腫瘍にROIを設定し同様の解析を行った.術後平均観察期間は810日であった.術後無再発群(N=17)のT値は0.722で肝内再発群(N=8)の0.988より低い傾向にあり(P=0.055),肝外転移群(N=8)より明らかに高値であった.肝外転移部位は縦隔1例,骨4例,肺3例,リンパ節1例,左頚部1例であった.腫瘍T値はvp1や病理学的肉眼型の予測などはできなかった.
【結論】
F4を検出する指標はAPRI, Fib4などの従来のマーカーよりATPIの新定数T値の検出力が高かった.T値はF numberおよびChild-Pugh scoreと相関した.腫瘍の術後転移様式は肝外転移を来す腫瘍の予期を施行できた.