Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション 消化器 3 体外式超音波検査による膵スクリーニングの限界と対策

(S336)

膵癌検診の目指す方向

Toward for early diagnosis of pancreatic cancer

井岡 達也1, 大川 和良2, 蘆田 玲子1

Tatsuya IOKA1, Kazuyoshi OHKAWA2, Reiko ASHIDA1

1大阪府立成人病センター検診部消化器検診科, 2大阪府立成人病センター肝胆膵内科

1Dept. of Hepatobiliary and Pancreatic Oncology, Osaka Medical Center for Cancer and CVDs, 2Dept. of Hepatobiliary and Pancreatic Oncology, Osaka Medical Center for Cancer and CVDs

キーワード :

【初めに】
膵癌はその多くが進行癌で診断されていることが長期予後不良の大きな要因である.高危険群を囲い込み,充分な経過観察を行なうことが早期診断のために有効であろうと考えられる.我々は前向き試験において,膵管拡張および嚢胞が統計学的に有意な高危険因子であることを明らかとした(ハザード比:27.50,P=0.002).
【方法】
これらの危険因子を有する人を対象として,適正な検診間隔を検証するため,3か月間隔で超音波検査などを行う群と6か月で行う群に無作為に割り付けた.本試験の主要評価項目は,早期診断割合で,検査は専任の検査技師により,十分な観察時間をかけ,液体による胃充満法も併せて実施している.
【結果】
2016年2月現在,328名が登録され(男性42%,65歳以上62%),各群164例ずつに割り付けられた.当初,本研究には,主膵管拡張および膵のう胞の両所見を併せ持つ患者のみを対象にしていたが,計画通りに患者が登録されなかったために,プロトコール改変して,片所見でも登録できるように変更した.両所見を持つ患者177名(54%),膵のう胞のみ115名(35%),主膵管拡張のみ36名(11%)であった.また,各種の理由により,一旦登録されたものの,同意撤回された患者は,61名(19%)で,各群に偏りはなかった.
【結語】
今後はより効率の高い定期検診による早期診断が,外科手術の成績を改善するものと期待している.(臨床試験登録情報:UMIN 000005043)