Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション 消化器 1(一部英語) 急性腹症の超音波診断

(S327)

急性腹症の診断における超音波の意義

Ultrasound of acute abdomen

今村 祐志1, 畠 二郎1, 眞部 紀明1, 河合 良介1, 中藤 流以2, 高田 珠子3, 竹之内 陽子4, 谷口 真由美4, 岩井 美喜4

Hiroshi IMAMURA1, Jiro HATA1, Noriaki MANABE1, Ryousuke KAWAI1, Rui NAKATOU2, Tamako TAKATA3, Youko TAKENOUCHI4, Mayumi TANIGUCHI4, Miki IWAI4

1川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波), 2川崎医科大学消化管内科学, 3三菱三原病院内科, 4川崎医科大学附属病院中央検査部

1Division of Endoscopy and Ultrasound, Dept. of Clinical Pathology and Laboratory Medicine, Kawasaki Medical School, 2Gastroenterology, Kawasaki Medical School, 3Internal Medicine, Mitsubishi Mihara Hospital, 4Clinical Labotatory, Kawasaki Medical School Hospital

キーワード :

はじめに
多くの施設で急性腹症の診断にはCTが用いられているのが現状であるが,本来第一選択的形態診断法であるべき超音波検査(以下US)の診断能をCTと比較し,その存在意義を検討した報告は少ない.
目的
急性腹症におけるUSの診断能や特徴を明らかにし,その存在意義を検討する.
方法
2015年に急性腹症に対し緊急手術が施行された168例を対象とした.US所見およびCT所見を手術記録と比較して,両者の診断能や特徴を検討した.US使用機器は東芝AplioTM,使用プローブは3.5-7.5MHzコンベックスおよびリニアプローブ,検者は超音波室所属の医師及び技師である.必要に応じて造影USを施行した.
結果
対象168例中,USは68例,CTは133例に施行されていた.CTやUS施行例が少ない原因は,他院で診断されて紹介された症例が多いこと,時間外ではCTのみが施行されていることである.超音波は68例中62例が正診しており正診率は91%であった.主な誤診は,free airの見逃しによる消化管穿孔の誤診,早期絞扼性腸閉塞の所見である腸間膜静脈うっ滞所見や,内ヘルニアの見逃しによる絞扼性腸閉塞の誤診であった.一方CTは133例中117例の正診で正診率は88%であった.主な誤診は早期絞扼性腸閉塞の誤診,虫垂炎穿孔症例で虫垂炎の指摘ができていなかった誤診,比較的軽度の胆嚢炎を指摘できなかった誤診などであった.両検査法の誤診例を比較すると,USの誤診の傾向は「所見の見落とし」であり,CTの誤診の傾向は「早期病変の指摘困難」「微小病変の指摘困難」であった.
考察
USでのみ正診できた疾患には早期絞扼性腸閉塞,胆嚢炎,穿孔性虫垂炎などがあったが,USのリアルタイム性や高分解能が有用であったと思われる.リアルタイム性が有用であった例は,造影剤のうっ滞所見や,sonographic Murphy’s signなど,壁肥厚や周囲炎症所見などの形態的変化に,動的な情報を加味することで診断が可能であったと思われる.特に絞扼性腸閉塞は早期診断により腸管切除を回避できることから特に有用であった.
高分解能が有用であった例は,胆嚢炎で胆嚢壁肥厚は軽度ながらいわゆるsonolucent layerを指摘できたり,穿孔してCTでは指摘できなかった虫垂をUSでのみ指摘できたりした症例である.一方,USの誤診例はfree airの見逃し,内ヘルニアの見逃しがあった.その原因は超音波の弱点の一つである「視野の狭さ」が関与していると考えられる.
また,超音波のみ施行していた症例のなかに,妊娠中の虫垂炎症例が2例あり,有用性が高かった.
結語
USは,早期診断,微小な病変に対し有用であり,急性腹症の診断に必須と思われる.一方,腹部を隈なく観察することに注意する必要がある.