Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.455(2016年)→0.677(2017年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器 2(一部英語) 消化器領域におけるエラストグラフィーの最先端

(S311)

急性肝不全の予後予測におけるエラストグラフィーの有用性-肝硬度と肝萎縮の関係-

Usefulness of ultrasound elastography for evaluation of prognosis of patients with acute liver failure

黒田 英克1, 藤原 裕大1, 阿部 珠美1, 三上 有里子2, 武田 智弓2, 滝川 康裕1

Hidekatsu KURODA1, Yudai FUJIWARA1, Tamami ABE1, Yuriko MIKAMI2, Chiyumi TAKEDA2, Yasuhiro TAKIKAWA1

1岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野, 2岩手医科大学中央臨床検査部

1Division of Hepatology, Department of Internal Medicine, Iwate Medical University, 2Central Clinical Laboratory, Iwate Medical University

キーワード :

【背景】
急性肝不全は予後予測が極めて困難な致死的疾患である.我々は,これまで急性肝不全の肝硬度を測定し,重症度評価や予後予測の指標となる可能性について報告してきた(Kuroda H, et al. Hepatol Res. 2015).肝硬度上昇に寄与する因子は,炎症,細胞浮腫や線維化など複数の組織性状変化が複雑に関与すると推測されているが,劇症肝炎に対する肝移植ガイドラインの重要な指標として確立された形態的変化である肝萎縮との関係は未だ明らかではない.今回我々は,急性肝不全の予後予測おける肝硬度測定の有用性を検討するとともに,肝硬度と肝萎縮の関係を予後予測の観点から比較した.
【方法】
対象は2010年4月から2015年10月まで当科にて入院加療した急性肝障害45例,急性肝不全非昏睡型25例,急性肝不全昏睡型10例である.成因はウイルス性31例,薬物性15例,自己免疫性13例,成因不明21例.男性35例,女性45例,平均年齢53.8歳.使用機種はACUSON S2000(Mochida Siemens Medical Systems).入院時にVirtual touch quantification(VTQ)を用い剪断弾性波伝播速度(Vs)を測定し,CTより算出した肝容積(CTLV/SLV)と予後予測に対する寄与について比較した.内科的救命例を予後良好群:A群(n=70),肝不全死あるいは肝移植例を予後不良群:B群(n=10)に分類し,VsとCTLV/SLVの2つの因子からロジスティック回帰分析による判別式を算出し,予後予測能を評価した.
【結果】
(1)重症度別の入院時Vs値は,急性肝障害:1.92±0.63 m/s,非昏睡型:2.32±0.65 m/s,昏睡型:3.07±0.71 m/sであり重症度に伴い有意に高値を示した(p<0.01).(2)予後別の入院時Vsは,A群:2.05±0.67 m/s,B群:3.09±0.76 m/sであり(p<0.01),CTLV/SLVは,A群:1.10±0.22,B群:0.78±0.12であった(p<0.01).VsとCTLV/SLV間に有意な相関関係を認め(r=-0.48,p<0.01),両因子ともに,PT,T-Bil,HGF,予測劇症化確率やMELD scoreと有意な相関関係を認めた(p<0.01).(3)VsとCTLV/SLVの予後予測に関するAUROCは,其々0.851,0.847であった.最適なCut off値は2.30(感度100%,特異度62.3%)と0.85(感度90.9%,特異度85.5%)で,Vsは感度,CTLV/SLVは特異度に優れていた.(4)得られたロジスティック回帰式は,予測値P=1/(1+e−λ).λ=1.208×Vs(m/s)-9.206×CTLV/SLV+3.578であり,同式の急性肝不全予後予測に関するAUROCは0.924であった.
【結語】
急性肝不全では,組織性状変化により肝硬度が上昇し,組織形態の病変が顕在化して肝萎縮を来すと考えられた.Vsは感度が,CTLV/SLVは特異度が優れており,形状と形態を併せて評価することでより精度の高い予後予測と移植適応判定にも応用できる可能性がある.急性肝不全予後予測におけるエラストグラフィーの有用性が示唆された.