Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器 2(一部英語) 消化器領域におけるエラストグラフィーの最先端

(S311)

肝線維化診断と発癌リスクの評価はShear wave imaging法が担う時代になる

Shear wave imaging shall play a role to evaluate liver fibrosis diagnosis and cancer risk

青木 智子1, 2, 3

Tomoko AOKI1, 2, 3

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学肝胆膵内科, 3公立八鹿病院内科

1Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, 2Division of Hepatobiliary and Pancreatic Diseases Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine, 3Internal Medicine, Yoka Hospital

キーワード :

【背景】
超音波shear wave imaging法(SW)は肝線維化や発癌リスクの予測に有用であるという報告が増えている.SWは針生検が担ってきた線維化診断や肝発癌リスク評価の代替となりうるか検討した.
【対象】
(1)2008/10〜2015/9に針生検・VTQ(Siemens, ACUSONS2000/S3000)による線維化診断を同時期に施行した1619例(HCV827/HBV272/BC11/NBNC509例)を対象として肝線維化診断能を検討し,(2)うち発癌既往のない1434例(HCV712/HBV252/BC9)を対象としたretrospective cohort studyを行い,F因子とSWの発癌評価能を比較した.
【成績】
(1)HCV/HBV/NBNCに分けて肝硬変診断のROC解析を行うと,AUROCは順に0.861/0.879/0.906で距離最短法によるcut off値は1.58/1.63/1.40(m/s)であった.F3/4でHBVは有意に肝硬度が低値で(P<0.05),1.40m/sが最適なcut off値と考えられた.単位面積あたりの線維化の面積を比較すると,F1-2ではHBV6.7%,HCV5.8%,F3-4ではHBV9.4%,HCV20.4%と線維化の進展したHCV症例で有意に肝線維化組織の割合が高いことが示された(P<0.05).また,ALTが200IU/Lを超える症例や急性増悪の症例では,SWが高値を示し,実際のF因子と乖離する傾向にあった.
(2)1434例は平均年齢56.3±13歳,男性588例で,新犬山分類F0/1/2/3/4は50/629/279/296/180例でVTQは1.09±0.17/1.17±0.29/1.35±0.43/1.63±0.61/2.21±0.67(m/s),A0/1/2/3は67/788/501/74例でVTQ 1.10/1.27/1.65/1.91(m/s)と,F0/1・A0/1以外の各群間で有意差を認めた(P<0.01).
平均観察期間38.8±24.4ヶ月の間に36例(F1/2/3/4 5/4/9/18例)が肝発癌に至った.発癌群は有意に高齢で,F因子,A因子,VTQ,FIB4 index,fasting plasma glucose(FPG)が高値で,血小板が低値であった(P<0.05).
Kaplan-Meier(Log-Rank検定)では,5年目の累積発癌率はF3で6.3%(8/126),F4で19.3%(17/88)でありF0〜2と比して有意に高率であった(P<0.001).VTQを1.35未満/1.35〜1.60/1.60〜2.00/2.00以上の4群に分けて同様に検討すると,5年発癌率は1.60〜2.00(m/s)では8.1%(5/62),2.00m/s以上では23.2%(16/69)となり,肝生検の場合と遜色ない生存曲線が描けた.Cox回帰分析では,男性(HR2.6),年齢>60歳(HR2.8),VTQ層別化(HR1.6)が有意な肝発癌リスクであることが示された(P<0.05).
【結語】
既報の如くF3-4で有意に累積肝発癌率が高まるが,VTQが1.60,2.00m/sを超えた場合にも同様に発癌率が高くなることが示され,肝硬変診断と発癌リスクの評価は非侵襲的な検査で十分である可能性が示された.肝線維化診断についてはetiologyによりSWのcut off値を変えた方が精度は向上すると考えられた.