Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器 2(一部英語) 消化器領域におけるエラストグラフィーの最先端

(S309)

Shear wave imagingによる非アルコール性脂肪性肝疾患の病態診断

Diagnosis of nonalcholic fatty liver disease by Shear wave maging

矢田 典久, 工藤 正俊

Norihisa YADA, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kindai University Faculty of Medicine

キーワード :

【はじめに】
Shear wave imagingは,剪断弾性波伝播速度Vsを測定することで肝硬度を推測できる装置である.肝硬度は肝線維化と有意な相関を示すことが知られている.非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLDにおける肝硬度に影響を与える因子を確認するため,肝硬度と病理学的診断・血清学的検査を比較することで,病態との関係について検討した.
【方法】
2010年9月から2014年4月の間,当院において肝生検を受けた143名のNAFLD患者を対象とした.肝生検時にFibroScanで肝硬度を測定し,病理学的診断,血清学的検査との関連性について検討した.
【結果】
肝硬度は,Matteoni分類type 3,4で22.0±14.3 kPaであり,type 1,2での7.7±5.9 kPaに比べ有意に高値であり,肝硬度のcut off値を11.4 kPaとした際のtype 3,4の診断能は,AUROC 0.941,感度100%,特異度87.3%であった.また,肝硬度は,Brunt分類のactivity grade・fibrosis stage,NAS score,Matteoni分類,AST,ヒアルロン酸,IV型コラーゲン7S,P3P,IV型コラーゲンとの間に強い正の相関,血小板数との間に負の相関を認めた.重回帰分析を行ったところ,fibrosis stage,ASTは肝硬度に対する独立因子であった.
【考察】
肝硬度はNASHの囲い込みに非常に有用である.さらに,肝硬度は肝線維化だけではなく炎症の進行度合いとも強く相関している.Shear wave imagingは非侵襲的にNAFLDの病態を診断・フォローするのに適したツールである.