道端 信貴¹, 福田 浩之¹, 沼田 和司¹, 田中 克明¹, 前田 慎², 小林 暁³, 徳田 淳一⁴, 小泉 憲弘⁵, 葭仲 潔⁶

Nobutaka DOBA¹, Hiroyuki FUKUDA¹, Kazushi NUMATA¹, Katsuaki TANAKA¹, Shin MAEDA², Akira KOBAYASHI³, Jyunichi TOKUDA⁴, Norihiro KOIZUMI⁵, Kiyoshi YOSHINAKA⁶

¹横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター, ²横浜市立大学消化器内科, ³放射線医学総合研究所医療情報, ⁴ブリガムアンドウィメンズホスピタル放射線科, ⁵電気通信大学工学部, ⁶産業技術総合研究所健康工学研究部門

¹Gastroenterological Center, Yokohama City University Medical Center, ²Department of Gastroenterology, Yokohama City University, ³Medical Information, National Institute of Radiological Sciences, ⁴Surgical Planning Laboratory, Brigham and Women’s Hospital, ⁵Department of Engineering, The University of Electro-Communications, ⁶Medical Engineering, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology

キーワード :

【目的】
3D Slicerは画像解析用のフリーオープンソースソフトウェアで目的によりさまざまな臨床に応じたソフトウェアが開発されている．RFA治療中には，組織の熱凝固によるcavitationの影響で，針先の位置や元の腫瘍の同定が難しくなることがあるため，今回は，RFAの治療計画，治療中の針の確認におけるnavigation systemに3D slicer，腫瘍の位置同定に呼吸トラッキングを用い，その有用性について検討した．
【対象・方法】
navigation softwareには3D slicerとOpenIGTLinkを，位置センサーは赤外線カメラPolaris Vicra（Northern Digital, Ontario, Canada）を使用した．RFAには，Cooled-tip electrodeを使用し，CT像（Aquilion 16; Toshiba Medical）で，仮想超音波像を作成し，その上にリアルタイムに仮想針を描出した．精度の検証にはabdominal phantom（CIRS Model057，Norfolk, VA）を用いて，超音波画像上と仮想超音波像上の針の位置の誤差を検証した．呼吸トラッキングには，Template matching法を用い，対象は臨床5例とした．
【結果】
abdominal phantomを用いた，超音波画像上とCTによる仮想超音波像上の針先の位置の誤差は1.7±0.2mmであり，針の動きもリアルタイムに観察することが可能であった．臨床例では，治療中の組織の熱凝固によるcavitationの影響で，超音波像上の針先の描出が困難となったが，CTによる仮想超音波像上に常に針の位置を表示することが可能であった．呼吸トラッキングシステムにより，治療中に腫瘍上に高エコーが出現した場合でも，常に元の腫瘍の位置を確認することが可能で，治療に有用であった．
【結語】
3D Slicerを用いたRFA navigation systemは，RFA施行時のcavitationによる針先の同定において，仮想超音波像上に常に針の位置を表示することが可能となり，呼吸トラッキングシステムにより，常に元の腫瘍の位置を確認することが可能で，安全にRFAを施行する補助となった．