Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器 1 肝癌の治療・診断におけるシミュレーション・ナビゲーション超音波画像

(S304)

ラジオ波焼灼療法における3D超音波装置の臨床応用

Clinical application of 3D ultrasound device in the radiofrequency ablation

的野 智光, 三好 謙一, 杉原 誉明, 孝田 雅彦

Tomomitsu MATONO, Kenichi MIYOSHI, Takaaki SUGIHARA, Masahiko KODA

鳥取大学医学部附属病院消化器内科

Second Department of Internal Medicine, Tottori University

キーワード :

【目的と背景】
ラジオ波焼灼術(RFA)における腫瘍に対する穿刺の正確性は,治療効果やその後の再発に大きな影響を与える.また,腫瘍の局在および周囲脈管臓器との位置関係を知ることは合併症予防に重要である.現在RFAは,二次元超音波診断装置(以下2D-US)を用いて穿刺が行われ,穿刺針の位置,周囲との関係を観察しているが,必ずしも十分な観察ができないことも多い.近年三次元超音波画像(以下3D-US)や時間軸を追加した四次元超音波画像の進歩により腫瘍を含めたボリュームデータを得ることにより,三次元の画像を構築できるようになった.RFAにおいて3D-USをどのように応用できるかを明らかにするために,RFA穿刺後に3D-USを行い,その描出能,治療効果予測について検討した.
【方法】
2014年7月から2015年9月まで当院でRFAを施行した162結節のうち3D-USが可能であった57結節で検討した.Aplio 500(東芝メディカルシステムズ社),穿刺時にはPVT-375BT transducer(中心周波数3.5MHz)を使用し,穿刺後にはPVT-625MV transducer(中心周波数6MHz)を使用した.2D-USで穿刺した後,4D-USで穿刺針を含む結節周辺のボリュームデータを取り込み,穿刺ラインを擬似的なZ軸方向に設定し,通常のBモードで得られるA plane(X軸平面)とその断面に直行するB plane(Y軸平面)を作成し,Z軸平面であるC planeを解析した.
【結果】
対象患者の平均年齢は75歳,平均腫瘍径は15.2mmであった.3D-USは,全162結節の内57結節(35.1%)に施行された.105結節は,造影USのみ描出可能,肋間など狭くプローブの走査困難,術中の時間的な問題や患者の状態など種々の理由により施行されなかった.3D-USを施行したが穿刺針と腫瘍の両方が同定できなかった16結節と,RFA後にMRI判定が困難であった10結節を除外し,31結節を解析対象とした.穿刺前において,2D-USが描出可能であった31結節中,3D-USではA plane 23結節,C plane 28結節描出し得た.穿刺後,穿刺針の描出が可能であったのは,A plane 29結節,C plane 31結節であった.また,穿刺針と周囲脈管との位置関係は,A/B planeに比べてC planeを観察することによって22結節で周辺の情報量が増加した.穿刺針の腫瘍内の位置と推定焼灼容積から予測される治療効果とRFA後に撮影されたMRIによる治療効果の一致率は74%であった.
【結語】
3D-USはプローブが大きいことや同プローブにより直接穿刺が困難であるなどの短所はあるが,B planeやC planeを観察することにより穿刺針の位置や周囲との関係をより明らかにし,治療効果の予測にも有用であることが明らかとなった.今後プローブの小型化や3Dプローブによる穿刺,造影USへの対応などの改善が望まれる.