Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 循環器
パネルディスカッション 循環器 2 心不全臨床に役に立つ心エコードプラ指標 —conventionalな指標を中心に

(S277)

中高齢者における左室流入血流波形正常パターンは予後良好のサインか

The prognosis of normal mitral inflow pattern in elderly

渡部 朋幸1, 高野 真澄2

Tomoyuki WATANABE1, Masumi IWAI-TAKANO2

1医療生協わたり病院内科・循環器内科, 2福島県立医科大学付属病院集中治療部

1Division of Cardiology and Internal Medicine, Health Co-op. Watari Hospital, 2Intensive Care Unit, Fukushima Medical University Hospital

キーワード :

【背景】
左室流入血流波形は,加齢に伴い正常型から弛緩障害型へ移行するが,一部の症例では正常型を維持している.しかし,中高齢者における左室流入血流波形が正常型を示す症例の予後が良好か否かは明らかでない.
【目的】
中高齢者における左室流入血流波形正常型維持例の予後が,弛緩障害型例と比べて良好かどうか,検討すること.
【対象】
2006年から2009年に当院で心エコー図検査を施行した患者のうち,60-65歳の洞調律患者475名(男性280名,平均年齢62.5±1.8歳).除外項目は発作性心房細動の既往,中等度以上の弁膜症,LVEF<50%とした.
【方法】
全症例を正常型群(n=80,E/A≧1かつLAVI<30ml/m2かつE/e´<15)と,弛緩障害型群(n=395,E/A<1)の2群に分類し,その後の心イベント発生の有無を経過観察した.心イベントは心血管死,非致死性心筋梗塞,不安定狭心症,心不全,心房細動発症,致死性不整脈と定義した.
【結果】
両群間において,登録時に年齢,性別,LVEF,LAVI,E/e´に差を認めなかった.正常型群では弛緩障害型群に比し,高血圧およびCKDの頻度が有意に少なく(高血圧:37.5 vs 58%,CKD: 2.5 vs 9.4%,各々P<0.01),左室心筋重量係数が有意に低値(86.1±16 vs 95.5±26 g/m2, P<0.0001)であった.追跡期間中(1-6年,4.9±1.8年)に38件のイベントが生じ(心房細動12,心血管死11,不安定狭心症7,非致死性心筋梗塞4,心不全3,致死性不整脈1),正常型群の弛緩障害型群に対するハザード比は0.25(95%CI 0.04-0.84)で,正常型群は予後良好であった.
【結語】
左室流入血流波形が正常型を維持している中高齢者では弛緩障害型例と比し心イベントの発生が少なく,予後良好である.