Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 循環器
パネルディスカッション 循環器 1 3次元心エコーはどう使うか?

(S273)

3次元心エコー法によるWPW症候群の副伝導路部位診断

Localization of Accessory Pathway in WPW Syndrome Using 3D Echocardiography

石津 智子1, 2, 瀬尾 由広2, 町野 智子2, 山本 昌良2, 榎本 真美2

Tomoko ISHIZU1, 2, Yoshihiro SEO2, Tomoko MACHINE-OHTSUKA2, Masayoshi YAMAMOTO2, Mami ENOMOTO2

1筑波大学臨床検査医学, 2筑波大学循環器内科

1Department of Clinical Laboratory Medicine, University of Tsukuba, 2Cardiovascular Division, University of Tsukuba

キーワード :

【背景】
3次元心エコースペックルトラッキング法は,左右心室の局所収縮拡張動態を捉えることを可能とする新技術である.
【目的】
3次元心エコースペックルトラッキング法を用い,顕性WPW症候群の心室収縮時相解析により,側副伝導路部位を診断できるかを明らかにすること
【方法】
対象は2012年3月から2015年10月の期間中に当院に副伝導路アブレーション目的で入院した顕性WPW症候群連続症例と心疾患のない対照例20例.WPW症候群ではカテーテルアブレーション前に経胸壁3次元心エコーを行った.6心拍加算による左右心室の3次元データを取り込み,オフライン解析装置Ultraextend(東芝メディカル社製)でアブレーションの結果を知らせず解析を行った.心内膜のスペックルトラッキング法を用い,局所面積変化率が最大値の25%値に達するまでの時間を計測し,心内膜面モデル上にカラーマッピングしたActivation Imaging(AI)像を作成した.房室弁輪近傍の心筋に収縮早期に異常収縮領域を認めた場合を側副伝導路部位とし,高周波アブレーションによる副伝導路焼灼部位と同様に僧帽弁輪・三尖弁輪における1から12時表示で表した.WPW症候群2例においては,アブレーション前後にCARTOシステムを用い心内膜電位マッピングを得て,3次元エコー法の収縮伝播マッピングであるAI像と比較した.
【結果】
3次元エコー画像は31±3 vpmで記録され,WPW症例10例での再現性の検討では検者内誤差は0.7±0.6時,検者間誤差は0.9±0.8時であった.健常対象20例における3DエコーAI法による検討では,左室の最早期収縮部位は心尖部前壁が11例(55%),中部前壁が6例(30%)で,残る3例はほぼ同時に左室全体が収縮開始していた.右室最早期収縮部位は16例(80%)で中部前壁中隔,4例では中部前壁あるいは心尖部であった.健常者では両心室とも房室弁輪周囲の心基部領域には最早期収縮を認めなかった.WPW症候群41連続症例のうち,3例はエコー画像不良により解析不能であった.残る38例は全例で房室弁輪周囲領域に1箇所以上の早期収縮部位が同定された.3DエコーAI法による副伝導路推定部位とアブレーション成功部位との比較では,完全一致は14例(37%),1時以内の誤差を含めると27例(71%),2時以内では33例(87%)が一致していた.部位別には僧帽弁輪自由壁では83%が1時以内の一致であったが,右室前壁及び前側壁の副伝導路の2症例では正しい診断はできなかった.中隔に副伝導路を認めた14例では8例に右室と左室の両方から中隔基部に早期収縮を認めたが,左右のいずれかに副伝導路焼灼成功部位があるかの鑑別は困難であった.
CARTOマップは左室自由壁,右室自由壁のそれぞれ1例で記録され,3DエコーAI像との対比では,エコー法が心内膜電位の変化に対応する局所収縮の心室全体への伝播を精度よく表示していることが確認された.また,アブレーション後の正常の刺激伝導系を介する心拍では,CARTOマップでは左室では左右乳頭筋付着部位,右室では調節帯の中隔起始部と前乳頭筋付近に心内膜電位が最も早く出現した.この正常伝導様式は健常者3DエコーAI像と類似していた.
【結論】
3次元心エコースペックルトラッキング法による収縮伝播時相イメージングであるAI像は,正常刺激伝導路,並びにWPW症候群における副伝導路を介する両心室の活動電位興奮伝播を反映した局所収縮様式を非侵襲的に画像化することが可能であった.Mモードエコー法や2Dエコー法では,副伝導路が関心領域になければ診断が困難であるのに対し,断面依存性のない3次元エコー法では両心室全体を捉え収縮伝播様式を一望できる利点があると考えられる.