Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器 1 左房評価を心房細動の臨床に活かす

(S254)

心臓構造からみた心房細動

Atrial fibrillation from the view point of cardiac structure

井川 修

Osamu IGAWA

日本医科大学多摩永山病院内科・循環器内科

Department of Internal Medicine and Cardiology, Tama- Nagayama Hospital, Nippon Medical School

キーワード :

自然界の現象をエネルギーの側面から見ると,それは常に,システム全体として「最小のエネルギー状態」とるべくその方向へ時々刻々変化を遂げている.心臓構造の変化とて例外ではなく,さまざまの病態(負荷)に対応して,「最小のエネルギー状態」をとるように,自身の構造を変化させながらシステムを維持しているものと考えられる.臨床上,我々が見ている心臓構造は一時点の安定状態,つまり一時点の結果を見ているにすぎないのである.心拡大は心不全の形態的表現かもしれない.心筋障害があることによりその構造をとることが,その時点では心臓のシステム全体からはベストの作動状態(最もエネルギー効率のよい状況),つまり「最小のエネルギー状態」を呈しているのであろう.
心房細動出現に対応して心房およびその周辺の構造的変化が起こることはよく知られ,「構造的リモデリング」と認識されている.この現象を上記した「全体のエネルギー」で考えてみると,心臓は「なんらかの負荷」に対応するために,その構造をとることでなんとかエネルギーを最小としようとているのかもしれない.この構造的変化は電気的リモデリングを引き起こし次の展開を迎える.ここでは「心房の構造リモデリング」として評価されている変化を,心臓およびその周辺構造を詳細に見ることにより確認し,何に心臓は反応し最小のエネルギー状態をとるべく構造変化を遂げようとしているのかを推測してみたい.