飯島 尋子^{1, 2}, 西村 貴士^{1, 2}, 吉田 昌弘¹, 青木 智子^{1, 2, 3}, 西口 修平², 會澤 信弘², 廣田 誠一⁴, 藤元 治朗⁵

Hiroko IIJIMA^{1, 2}, Takashi NISHIMURA^{1, 2}, Masahiro YOSHIDA¹, Tomoko AOKI^{1, 2, 3}, Syuhei NISHIGUCHI², Nobuhiro AIZAWA², Seiichi HIROTA⁴, Jirou FUJIMOTO⁵

¹兵庫医科大学超音波センター, ²兵庫医科大学肝胆膵内科, ³公立八鹿病院内科, ⁴兵庫医科大学病理学講座, ⁵兵庫医科大学肝胆膵外科

¹Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, ²Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine, ³Department of Internal Medicine, Yoka Hospital, ⁴Department of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine, ⁵Department of Surgery, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【目的】
Shear Wave法を用いた非侵襲的肝線維化診断は現在，VTQ（Siemens），SWE（Supersonic Imagine），ElastPQ（Philips），SWE（Toshiba），SWE（GE），TE（Echosens）がある．私たちは，6機種同時に肝硬度を測定した症例の線維化診断と2008年から測定をしているVTQの線維化診断について報告する．
【対象・方法】
①2008年10月から2014年11月にVTQ法を施行し，組織学的に診断した慢性肝疾1074例（C型560例，B型210例，B＋C型9例，NBNC型295例），男性500例，女性574例，年齢18歳〜89歳　平均年齢　56.9歳）および②2015年2月から2015年8月にVTQ・ElastPQ・SWE（Supersonic Imagine）・SWE（Toshiba）・SWE（GE）・TEの6機種すべてで測定しえた慢性肝疾患109例（C型/B型/BC型/NBNC型45/24/1/39例，男/女　35/74例，平均年齢　57.2±12.7歳）を対象とした．本検討は院内倫理委員会の承諾を得た．
【結果】
①線維化ステージのVsはF0：1.21±0.41，F1：1.18±0.31，F2：1.35±0.39，F3：1.56±0.55，F4：2.23±0.64であり，慢性肝炎（F0-3）と肝硬変（F4）の間に有意差を認めた（P＜0.001）．炎症のグレード（A0-3）別に検討すると，それぞれA0：1.20±0.46，A1：1.28±0.45，A2：1.66±0.63，A3：1.90±0.70であり炎症が高度となるにつれ，Vs値も上昇する傾向を認めた．肝硬変と慢性肝炎の鑑別能をreceiver operating characteristic curve（ROC曲線）により検討したところ，曲線下面積は0.906と良好であった．②VTQ/SWE（Aixplorer）/ElastPQ/ SWE（Toshiba）/ SWE（LogiqE9）/TEによる線維化ステージ別肝硬度はそれぞれF1;1.12/1.37/1.18/1.36/1.35/1.30，F2;1.27/1.58/1.35/1.54/1.51/1.51，F3;1.52/1.89/1.60/1.81/1.74/1.92，F4;2.21/2.70/2.56/2.63/2.21/2.94であり，すべての機種で線維化ステージの進展ともにVs値は上昇していた．肝硬変判別能をROC解析で検討するとVTQ/ SWE（Aixplorer）/ElastPQ/ SWE（Toshiba）/SWE（LogiqE9）/TEの曲線化面積（AUROC）はそれぞれ，0.959/0.963/0.964/0.967/0.970/0.959であり良好な判別能を示した．各機種間での肝硬度測定における相関係数も0.832-0.965と相関を認めた．
【結語】
Shear wave法による肝線維化診断は有用で有り，超音波装置間での肝硬変の診断能にも差は認めず，いずれの機種においても肝線維化評価が同等に可能であり肝生検に変わりうる診断法になりうる．