Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 基礎
パネルディスカッション 基礎 高速撮像技術の拓く超音波イメージングの未来

(S243)

高速超音波イメージングを用いた循環動態計測

Measurement of cardiovascular with fast ultrasonic imaging

高橋 広樹1, CINTHIO Magnus2, 長谷川 英之1

Hiroki TAKAHASHI1, Magnus CINTHIO2, Hideyuki HASEGAWA1

1富山大学大学院理工学研究部, 2ルンド大学工学部

1Graduate School of Science and Engineering for Research, University of Toyama, 2Faculty of Engineering, Lund University

キーワード :

【はじめに】
高フレームレート超音波撮像法は,秒間数千枚の高時間分解能計測により,従来得られなかった高速な組織動態を捉えることを可能とする.高速超音波イメージングの適用領域は大きく拡大してきており,音響放射圧を印加することで発生させた軟組織中のずり波伝搬計測に端を発し[1],近年では超音波治療のモニタリング目的にも使用されている.本発表は,その中でも循環器領域の組織動態計測における適用について紹介する.
【血流計測への適用】
心血管系の血流および周囲の軟組織は高速に運動するため,これらの動態計測に高速超音波イメージングは有用である.血流計測に関しては頸動脈への適用に始まり,血球からのエコーの動きを高速撮像することによって血流方向が明瞭に観察可能であることが示されている[2,3].また,血球エコーの動きの検出によって二次元血流速度を得られることが実証された[4].これらの成果から,高速イメージングは血液の本来の動きに近い動態情報の撮像さえ可能とすることが示唆された.心腔内血流にも適用が拡大しており[5],得られる血流速度ベクトル分布は拡張期中の渦流の描出を可能としている.従来の血流ドプラ法に対し,こうした血流高速撮像法は血流方向も情報として得られる点で優位性があり,今後はこの利点を活かした有益な診断情報の探索が重要になると考えられる.代表的な二次元血流速度推定法としてブロックマッチング法が使用されているが,フレーム間の微小な変位を推定するためにはエコーの二次元相関関数を密に補間する必要があるため,臨床使用に際し計算コストの増大が問題となる.我々は,二次元周波数領域における位相平面の傾きを利用した,補間を必要としない手法を提案する.基礎実験の結果から,本手法はブロックマッチング法に比べ誤差が若干増大するが,計算量を大幅に低減可能であると推定された.
【血管壁計測への適用】
血管壁動態の計測に関しても高速イメージングの有用性が示されており,従来は血管壁局所の脈波伝搬の解析のために心電同期撮像が使用されていたが[6],高速超音波は一度の撮像でこれを可能にする[7].血管壁は径方向だけではなく軸・円周方向にも変位するため,その二次元変位計測は価値があると考えられる.我々は収集される多数のフレームを利用し,変位推定において異なる時間間隔のフレーム間相関を平均化することによって,二次元変位推定の精度を向上させた.対象組織の速度を考慮して平均フレーム枚数を決定する必要はあるが,脂質コアを内含する動脈硬化プラークなど,反射エコーが微弱な組織における二次元変位推定の安定化につながると期待される.
【まとめ】
高速超音波イメージングは,心血管系の血流や血管壁を伝搬する脈波など,これまでは見られなかった組織動態の観察を可能にしている.こうした定性情報に加えて,組織変位から得られる定量的な情報を提供することにより,臨床的研究の進展に貢献すると期待される.
【参考文献】
[1]Tanter et al., IEEE Trans UFFC, 2002.
[2]Hasegawa et al., IEEE Trans UFFC, 2008.
[3]Hasegawa et al., Proc IEEE Ultrason Symp, 2010.
[4]Udesen et al., IEEE Trans UFFC, 2008.
[5]Takahashi et al., JJAP, 2014.
[6]Fujikura et al., Ultrason Imag., 2007.
[7]Hasegawa et al., J Med Ultrasonics, 2013.