Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 基礎
シンポジウム 基礎 3 超音波治療の臨床応用最前線

(S239)

肝癌HIFU治療の安全性と有効性について

Treatment of Small Hepatocellular Carcinomas with US-guided High-Intensity Focused Ultrasound

福田 浩之1, 沼田 和司1, 道端 信貴1, 田中 克明1, 前田 慎2, 小林 暁3, 徳田 淳一4, 小泉 憲裕5, 葭仲 潔6

Hiroyuki FUKUDA1, Kazushi NUMATA1, Nobutaka DOBA1, Katsuaki TANAKA1, Shin MAEDA2, Akira KOBAYASHI3, Jyunichi TOKUDA4, Norihiro KOIZUMI5, Kiyoshi YOSHINAKA6

1横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器センター, 2横浜市立大学消化器内科, 3放射線医学総合研究所医療情報, 4ブリガムアンドウイメンズホスピタル放射線科, 5電気通信大学工学部, 6産業技術総合研究所健康工学研究部門

1Gastroenterological Center, Yokohama City University Medical Center, 2Department of Gastroenterology, Yokohama City University, 3Medical Infomation, National Institute of Radiological Sciences, 4Surgical Planning Laboratory, Brigham and Women’s Hospital, 5Department of Enginering, The University of Electro-Communications, 6Medical Engineering, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology

キーワード :

【目的】
体外式集束強力超音波(high intensity focused ultrasound: HIFU)は高エネルギー超音波を微小焦点域に集中して,熱凝固により癌組織を壊死させる穿刺を必要としない低侵襲治療法である.今回,肝癌HIFU治療の効果と安全性について検討した.
【方法】
対象は,HIFUを施行した腫瘍径30mm以下の肝細胞癌45例である.3D・4D超音波はLOGIQ 7(GE製)を用いた.3D slicerによるnavigationは3Dセンサーとして赤外線カメラPolaris Vicra optical tracker(Northern Digital, Ontario, Canada)を使用した.呼吸トラッキングには,template matching法を用いた.HIFU装置は,重慶Haifu社製JC200,綿陽社製HIFU装置を使用した.超音波造影剤はソナゾイド®を用いた.
【成績】
45例中32例において,1回の治療で完全壊死を得ることが可能であった.完全壊死を得られなかった5例では,腫瘍が深い場所に存在した場合と肋骨の遮蔽によるものであった.また治療が中断した8例については,原因として3例は治療時の腫瘍の描出不良,2例は皮膚熱傷,2例は皮膚腫脹,1例は痛みのためであった.熱傷例はCTC Grade2であり,3週後には治癒した.全例において,術後の血液データにて,トランスアミナーゼ,CRP,肝予備能に大きな変化はみられず,重篤な合併症も認めず,2年での局所再発率は8%,他部位再発率は33%であった.重慶HIFU装置での平均照射時間は11.8±6.8分,平均治療時間は207±106分であったが,綿陽HIFU導入後,4D超音波とリアルタイム3D造影超音波により,ベッドを移動せずに効果判定が可能となったこと,モニター画像の画質の改善による小さい病変の描出が容易となったことにより,平均照射時間は10.8±5.8分,平均治療時間は92±20分と治療時間の短縮に役立った.腫瘍に対する肋骨の遮蔽率が30%以下,皮膚からの距離が50mm以下の場合,有意に治療時間が短かった.
【結語】
HIFUは,安全で有効な治療であり有用であったが,現在RFAと比較し,治療時間の長いことが課題である.腫瘍に対する肋骨の遮蔽率,皮膚からの距離により,HIFUにて短時間に治療できる症例の選択が重要と考えられた.また,4D超音波とリアルタイム3D造影超音波は,有意に治療時間短縮に有用であった.今後は,様々な工学的技術により,治療時間のさらなる短縮が必要と考えられた.
【参考論文】
Fukuda H, Ito R, Ohto M, Sakamoto A, Karasawa E, Yamaguchi T, Shinozuka N, Zhu H, Wang ZB. Treatment of Small Hepatocellular Carcinomas with US-guided High-Intensity Focused Ultrasound. Ultrasound Med Biol. 2011.37:1222-9.