Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 基礎
シンポジウム 基礎 1 光と超音波の融合によるイメージングモダリティの新展開(日本超音波医学会光超音波画像研究会との共同企画)

(S233)

光音響イメージング技術の前立腺がん応用に向けた医師主体の臨床研究

Clinical trials for evaluating the feasibility of photoacoustic imaging technology for prostate cancer diagnosis

石原 美弥1, 堀口 明男2, 新本 弘3, 新地 祐介2, 渡邉 大祐2, 尾島 健一郎2, 河村 一樹2, 津田 均4, 淺野 友彦2

Miya ISHIHARA1, Akio HORIGUCHI2, Hiroshi SHINMOTO3, Masayuki SHINCHI2, Daisuke WATANABE2, Kenichiro OJIMA2, Kazuki KAWAMURA2, Hitoshi TSUDA4, Tomohiko ASANO2

1防衛医科大学校医用工学講座, 2防衛医科大学校泌尿器科学講座, 3防衛医科大学校放射線医学講座, 4防衛医科大学校病態病理学講座

1Department of Medical Engineering, National Defense Medical College, 2Department of Urology, National Defense Medical College, 3Department of Radiology, National Defense Medical College, 4Department of Basic Pathology, National Defense Medical College

キーワード :

【目的・対象】
光音響イメージングは,光吸収体から発生する超音波を検出して画像化する光と超音波の特徴を併せ持つイメージング技術である.装置形態は顕微鏡タイプからガントリータイプまで提案されており,幅広い応用が国内外で盛んに研究されている.特にヘモグロビンを光吸収体とする血管画像に関する研究が世界的に先行している.我々は厚労省科研費及びAMED委託研究開発費を利用して富士フイルム株式会社と医療機器開発のためのチームを構成している.現在までに超音波画像診断装置用プローブを利用して超音波画像と重畳できる光音響血管画像取得システムを構築し,防衛医科大学校にて医師主体の臨床研究を実施している.その一例として,制癌と性機能温存を要求される難易度の高い早期前立腺癌に対する神経温存根治的前立腺全摘除術への応用がある.的確な性機能温存には,微小血管とともに前立腺周囲を覆う勃起神経のネットワーク(神経血管束)を術中に明瞭に認識することが理想とされている.光音響画像により血管をランドマークとした神経血管束の同定が可能か,摘出組織を対象に測定した血管内皮および神経細胞の免疫染色像と光音響画像所見との整合性を確認し,術中イメージングへの応用を検討している.その他の応用として,癌の局在の把握などへ利用可能性を検討している.
【方法・結果】
医師主体の臨床研究は全て防衛医科大学校の倫理委員会の承認の下,本研究に関する同意の得られた症例に対して実施した.光音響画像用の経直腸プローブを開発し,それを用いた前立腺がん診断応用のための医師主体の臨床研究では,前立腺がんの診断能が最も高いMRIと比較して光音響画像の性能を検証した.経直腸的超音波断層法(TRUS)ガイド下での侵襲的な前立腺生検への適用として,光音響画像で正常組織と癌組織の異なる血管構造を可視化できるか検討した.光音響画像を取得した症例では超音波と重畳し,ドプラ画像と比較した.また病理画像とも比較した.
【考察・結論】
超音波画像における低エコー領域,ドップラー画像における信号増強像,光音響画像におけるシグナルの強弱を症例ごとに検討した.生検の結果との比較や,Gleason score(GS)との関連を検討した.現状ではTRUSの解像度が低いため,前立腺全体から満遍なくサンプルを採取せざるを得ないが,光音響画像を適用することで,診断精度を高められる可能性が示された.引き続き,広範に使用されている超音波画像診断技術の長所と光画像技術の長所を活かして,医療の現場で真に有用な新しい医用モダリティとしての確立を目指したい.
【謝辞】
本研究の一部は日本医療研究開発機構研究費(医療機器開発推進研究事業)の助成を受け実施された.本研究用に光音響血管画像取得システムを開発,提供した富士フイルム株式会社の協働メンバー,および,2015年5月に富士フイルム株式会社をご退職された辻田氏に感謝申し上げます.